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戦に明け幕れて、乱れに乱れた世の中もようやく治まり、今の大正寺あたりが、亀田の殿さまの領地であったころの話っこなんだド。
新波のお不動さんのご霊験がまことにあらたかであったので、そのあたりの里人たちの信仰は、それはそれは驚くほどあついものがあったんだド。
ある年のこと、殿さまは領内の村々の作柄や村人たらのくらし向きを見てまわりたいと思ったんだド。新波のお不動様のお宮の前にさしかかった時、馬に乗ったまま鳥居をくぐって参道を進まれたんだド。
ところがどうしたことか、お宮の前で殿さまが馬から落ちてしまったんだド。「さあ、大変なことがおこった」と大勢の家来の者はもとより、土下座して殿さまのお宮詣でをお迎えしていた神主をはじめ、村の主だった人々は、いよいよおそれ入って顔もあげられなかったんだド。
お付きの家来が、とっさの出来ごとにあわてで走り寄ると、殿さまは一人ですっと立ちあがられたんだド。おけがのない様子で、ほっとして顔をあげながら殿さまを見ようとした折しも、織さまはお顔の色をかえられて「我が領内にあって、しかも多大なご被護を受けながら、その領主たる者を落馬せしめるとは何ごとぞ、誠に不届千万なり!」と、大きな声で叫ばれ、大変なお腹立ちだったド。
殿さまは、きっと家来たちや村人たちが大勢いる場所で、しかも神さまの前のことでもあり、痛いことよりはずかしさのために、一層おこられたんだべ。
ところが、殿さまの大きな声にまるでこだまするかのように、奥宮あたりから「われは、亀田の領土になどは住んでおらぬぞ!」という声がしたんだド。
これには、殿さまをはじめ、家来たちや、どのようなおとがめを受けるかと心配していた神主たちもおどろいてしまったド。殿さまの言いつけを受けた家来たちと神主は、ご神体のありかを確かめに奥殿に入ったんだド。
家来の中に頭のいい人がいて、神さまが、まことに亀田の領地にいるかどうかを確かめるためにと、奉書の紙をご神体の下に差し込んでみたんだド。そうすると驚くことにご神体の下の神は、前後左右に動いたんだド。
殿さまは、ご神体が宙に浮いたことを知り、その霊験のありがたさと、このような尊いご神前を乗馬で通る非礼にも格別な怪我のなかったことに深く感激されたんだド。
その後は、神社の改築をされたり、お祭りの折々に、さまざまな供物を奉納されて崇敬され、また代々の殿さまも益々尊崇されたんだド。
とっぴんぱらりのぷ!
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