園長コラム
2024年の通常開園を終えて
北国秋田の2024年度の通常(シーズン)開園は、平地の雪が消えた3月16日に始まり、太平山が雪化粧した12月1日(日曜日)でシーズンを終えました。最終日は寒い朝でしたが、お天気に恵まれ、たくさんの方々にシーズン最後の動物園を楽しんでいただきました。
当日は恒例の「さよなら感謝祭」が行われ、ネーミングライツ・パートーの秋田銀行様をはじめ多くの動物園支援者、入園者の皆様にご参加をいただきました。春の牧草栽培活動に参加してくれた地元の浜田小学校や栗田支援学校の児童も参加、また動物園への全校徒歩遠足が恒例の日新小学校児童のブラスバンド演奏は、感謝祭を華やいだものにしてくれました。シーズン中の入園者数は22万人を越える多くのご利用をいただき、感謝申し上げます。
また、物価高騰による予算難の事情もあり、動物園ではふるさと納税や動物サポーター制度などを立ち上げたところ、多くの方々からのご支援、ご寄附などをいただき、動物園の応援団の多さを改めて知ることもできました。私たちはその応援にお応えすべく、思いを新たにしております。この場をお借りして、御礼を申し上げます。
さて、動物園はいのちがめぐる場、今シーズンもさまざまな動物で、いのちがめぐる出来事がありました。シーズン始めの6月にはアフリカゾウの移動が行われました。素直で賢い雌のリリーが仙台に帰り、秋田には久々に花子が戻ってきました。小さい頃から秋田で育った花子はやっぱり秋田が似合っているし、花子も故郷を思い出したようでした。6年前に行われた東北三園での雌ゾウ交換による繁殖プロジェクトは、残念ながら実は結びませんでしたが、この挑戦で多くの知見を得ることが出来ました。
また、22年ぶりに繁殖したユキヒョウのヒカリちゃんは、この秋、繁殖をめざし札幌の動物園に旅立ちました。雪の降る街で赤ちゃんを産んでくれることを期待し朗報を待ちたいと思います。
寂しく見送った動物もたくさんいましたが、エレガントなスタイルでファンの多かったシンリンオオカミに、浜田小学校児童が「長いすらっとした足でぐるぐる回るジュディが大好きでした」の表現で読んでくれた慰霊の作文はとっても素敵なものでした。晩年は動物病院で余生を過ごしていましたが、天寿を全うした18歳での旅立ちでした。合掌。
「いのちの劇場」とでも表現したくなる動物園、いのちの尊さが薄れる時代だからこそ、特に感性豊かな子どもたちには、こうしたドラマを知ってほしいと思いましたし、それを伝えるのも動物園の大事な仕事だと思います。
開園51年目は教育プログラムをさらにブラッシュアップできたシーズンだったとも思います。次世代を担う若いスタッフが「楽しく学べる体験型動物園」をテーマに掲げ、これまでの経験、実績を基礎に、より楽しく、動物たちを体感できるアイディアを駆使し、挑戦を始めていました。さまざまなイベントでは、動物をより身近に感じられる工夫、そこには大森山の自然と生き物との関わりも差し込まれ、多様な体験を楽しめる動物園への格上げがさまざま試みられました。
不安や生き辛さを感じる時代、動物園はどこかほっと息の抜くことのできる「癒やし」の空間と言っていいと思います。あきぎんオモリンの森は「動物と語らう森」でもあります。オモリン気分で動物と心を通わせながら、何かを感じ、そして気づき、学んでほしいものです。
たくさんの方々に楽しんでいただいた今シーズンでしたが、来園者から多くを学びえたシーズンでもありました。多くのご支援、ご支持に重ねて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。年明け、1月4日(土曜日)から恒例の「雪の動物園」が始まります。ポスターの主人公、ホッキョクオオカミのルーシー、ニッキーも待っています。
2024年12月
あきぎんオモリンの森 園長 小松 守
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