第2次障害者プラン
秋田市障害者プラン改訂版
本市では、平成10年2月に障がい者支援のための総合計画である「秋田市障害者プラン」を策定し、各種施策を実施してきました。
その後、平成12年の介護保険制度のスタートなど社会福祉基礎構造改革によって、障がいのある人を取り巻く環境が大きく変化したことに加え、市民の価値観も変化・多様化する中で、これまで以上にサービスの質・量の充実が求められるようになってきました。
このような背景をふまえて、障がいのある人が地域の中で安心してごく普通に暮らしていけるように、各種事業の見直しを行い、ここに「秋田市障害者プラン改訂版」を策定しました。
見直しにあたっては、21年ぶりに改訂されたWHO国際障害分類の考え方を取り入れながら、「誰もが互いを理解しながら、地域で共に暮らしていける、心に豊かさを実感できるまち」をめざし、平成17年度までに必要と見込まれる保健・福祉サービスの目標量やそのあり方を盛り込みました。
今後は、社会状況の変化に対応するとともに、市民の意識や生活実態にも即応しながら、毎年、計画の達成状況や成果などについて検証を加え、各種サービスを着実に実施していくこととしています。
秋田市障害者プラン改訂版の枠組み
注:WHO国際障害分類の改訂(下図参照)を受けて、このようなイメージにしました。
WHO国際障害分類とは
世界保健機構(WHO)が発表した、障害を体系的に分類し、総合的に把握するための概念
(改訂版「生活機能と障害の国際分類」2001年)
障がいをプラスあるいは中立的な考え方のもとに再分類しました。それぞれが双方向につながり合っていて、障がいがあっても「活動」や「参加」は可能であるという考え方。背景・環境という新しい視点も加えられました。
改訂前(「機能障害、能力障害および社会的不利の国際分類」1980年)
障がいのレベルは1次から2次、そして3次へと一方向に進み、障がいをマイナスのイメージとしてとらえていました。
基本目標
障がい者人口の将来設計
区分 |
平成9年度 |
平成12年度 |
平成17年度 |
---|---|---|---|
秋田市人口 |
314,441 |
316,668 |
319,913 |
身体障害者人口 |
9,235 |
10,393 |
11,046 |
知的障害者人口 |
1,212 |
1,337 |
1,514 |
精神障害者人口 |
2,028 |
2,702 |
3,172 |
健康づくり 健やかでゆとりある生活ができるように
いつまでも健康で明るく暮らしたいというのは、すべての市民の願いです。そのためには、障害の発生を予防することが基本となります。しかし、何らかの原因で障害が発生してしまうこともあります。もし仮に、障害が見つかった場合でも、早期発見・早期治療の体制が確立していれば、その障害の発生(発症)をおさえたり、軽減したり、早期に機能の改善や回復をはかることができます。
そのためにも、胎生期・乳幼児期から青少年期を経て成人期、さらには高齢期にいたるまで、常に心身の健康に気を配ってもらえるよう、各種健康診査体制を充実することが必要です。
精神障害については、近年の関係法令の整備に伴い、精神保健福祉の向上がはかられてきていますが、法律の対象として認定された歴史が浅いことや、精神障害者への誤解や偏見が依然として社会に根深く残っていることで、他の障害に比べ、社会環境の整備の遅れが指摘されています。
このため、平成3年(1991年)に国連において決議された、精神障害者の人権保護や社会参加・社会復帰の促進をはかることなどが盛り込まれた「国連原則」を指標とし、こうした課題に取り組むことが求められています。
乳幼児保健
- 適切な子育て支援を行うと同時に、乳幼児虐待の早期発見と適切な対応をはかるため、保育士・心理相談員の配置、健診時の問診項目の追加など、チェック体制を整備するとともに、児童相談所や子育て総合センター等との連携を強化します。
機能訓練事業
- 閉じこもりがちな虚弱高齢者の日常生活自立度を維持し、低下を予防するため、「ふれあい元気教室(移動リハビリ教室)」について、当面は秋田市保健センターのほか、地域の公民館などの身近な場所で、市内10会場程度で実施し、利用の状況を見極めながら順次会場の増設を検討していきます。
- 「リフト付福祉バス」を活用し、自主トレーニング利用者の支援をはかります。
日常生活用具の給付
- IT時代に対応し、広く情報収集できるように、パソコン等の給付対象品目化や対象となる障害の種別、障害程度および給付基準額の範囲の拡大について、国に働きかけていきます。
精神保健
- 精神保健福祉法の改正により、平成14年度から精神保健に関する在宅福祉事業が市町村を中心に推進することになったことを受け、より身近な地域での支援体制の拡充をはかります。
- 保健所デイケアルームを精神障害者が日中を過ごす場所として開放するなど、当事者の憩いの場づくりについて検討します。
- 精神保健福祉士の配置に向けた取り組みをしていきます。
生きがいづくり いきいきと自分らしく生活できるように
どんなに重い障害があっても地域の中で安心して普通に暮らしていける社会、いわゆるノーマライゼーションの社会の実現が望まれています。本市においても、障害者福祉についての関心は高まってきてはいますが、市民一人ひとりの障害についての偏見は少なくなく、またノーマライゼーションへの理解はまだまだ十分とはいえません。
日常の家庭生活や学校教育、社会教育を含む実社会の中で、ほかの人の痛みの分かる思いやりの心を育てるとともに、障害者週間などを通して、ノーマライゼーションの考えをより広く市民の間に浸透させていくことは、障害のある人だけでなく一般の人にとっても、それぞれが地域の中で主体的に生活していくうえで、とても大切なことです。
また、学術・文化・芸術などの学習の場や、スポーツ・レクリエーションなどの活動の場をつくりあげることも大切です。
さらに、日常の生活で困ったことがおこったときに、身近なところでいつでも気軽に相談できる人や場所、また、最新の情報を入手しやすい体制を整備しておくことも求められています。
社会教育の充実
- 明徳館と土崎図書館において、ボランティアグループと連携しながら、対面朗読・テレフォンサービスなど、目の不自由な方への朗読サービスを実施します。
- 弱視者を対象とした大活字図書を積極的に収集していきます。
市民スポーツの振興
- 身体障害者体育大会とゆうあいスポーツ大会の統合も契機として、平成19年に秋田県で開催される全国障害者スポーツ大会に向け、障害者スポーツについて、さらに理解啓発をはかります。
障害のある人への理解の促進
- 「障害者の日」や「障害者週間」について、さらに啓発活動を充実するとともに、駅前広場等でイベントを開催し、障害のある人への理解を促進します。
- 公共施設等に授産所・小規模作業所等の製品を展示・販売するスペースの開設を検討します。
地域生活の支援
- 障害者の地域生活における支援の向上をはかるため、(仮称)福祉複合施設において知的障害者生活支援事業を実施するほか、障害種別を超えた、「障害者地域生活支援センター」を公共施設等に整備できるように検討します。
- 精神障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)を実施します。
高度情報化への対応
- IT講習について、今後も引き続き開催するよう検討するとともに、社会教育施設に整備した障害者用IT関連機器の利用を促進します。
社会参加 社会にはばたいて生活できるように
教育の面では、障害のある子どもの障害の種類・程度・特性に応じた、きめ細かな教育体制を整備し、一人ひとりの可能性を最大限に育て、社会的に自立できるように支援していくことが必要です。また、障害のある子どもも障害のない子どもも、地域の中で共に学び、共に遊び、共に育つ環境を整え、お互いの豊かな人間性を育んでいけるように支援することも大切です。
雇用の面においては、障害があっても仕事を通して自立したいと願う人が増えている一方、ここ数年の長引く不況の影響もあり、就労の場が不足しているのが現実です。障害のある人が社会への完全参加を実現し生きがいのある充実した人生を送るためにも、障害のある人の働く意欲を尊重し、一般雇用はもとより、福祉的就労を含め、その能力と適性に応じた働く場が確保されるよう支援していく必要があります。
また、障害のある人が、社会生活にとけこんでいくためにも、たくさんの人たちと交流しふれあいを深められるような、気軽に参加できる開かれた環境づくりや、利用しやすい移動手段の確保などをいっそう推進する必要があります。
保育所・幼稚園での障害児の受け入れ
- 子育てに関する総合相談窓口である「子育て総合センター」が広く活用されるように、周知をはかっていきます。また、ファミリー・サポート・センター事業を活用し、障害を持つ子どもたちとその家族に対する支援体制を整備します。
学校教育の充実
- 子どもの発達段階や状況により、本人にとって適切な環境で学習できるように、「なかよしプラン」(障害のある子どもたちが学校行事に参加する際の手助け)、「さくらプラン」(入学まもない子どもたちの学校生活の支援)などによって、サポーターを派遣します。
就労のための支援
- 「秋田市リサイクルプラザ」の訓練を終了した知的障害者の進路先の確保に努めます。
社会参加の促進
- 障害者週間に駅前広場等で障害者ボランティアによるイベントを開催します(ボランテイア活動支援事業)
- 「リフト付福祉バス」の運行を検討します(リフト付福祉バス運行事業)
- 手話奉仕員養成講座の受講修了者への活躍の場を提供できるように、手話奉仕員派遣事業の実施を検討します(手話奉仕員養成事業)
- 障害者のニーズに応じて、温水プール等を活用した水泳教室の開催を検討していきます(スポーツ教室開催事業)
- 視覚障害者、聴覚障害者、内部障害者等のための生活訓練教室を検討します(生活訓練事業)
移動手段の確保
- 身体および知的障害者バス無料化事業について、障害の種別や程度に応じ、回数券方式を導入するなど利用実態に即した事業の実施を検討します。
支え合い みんなで支え合い安心して生活できるように
障害のある人が、地域の中で安心して生活するためには、自分自身で努力するとともに、地域の人たち、特に身近な人たちと一緒に自立を押し進めることが大切ですが、それと同時に、行政としてもさまざまな福祉サービスを充実させ、サービスの利便性の向上をはかる必要があります。
障害者福祉の分野は、平成15年度から、行政がサービスを決める従来の「措置制度」から、障害者自らがサービスを選択し、事業者と契約する「利用制度(支援費制度)」に移行します。
そのためにも、これまで以上に、サービスの量はもちろん、サービスの質の向上をはかることが重要となり、個々のニーズに応じて、適切な福祉サービスを自由に選択できるような体制づくりが必要となります。
また、すべての人が住み慣れた地域で、できるだけ自立して生きがいをもって暮らしていくためには、地域の中で、互いに支え合う(共助)こともなにより大切です。地域での共同体の意識は年々希薄になりつつありますが、地域・住民が主体的に創意工夫しながら、きめ細かな地域サービスが提供される土壌が培われていくことが理想的です。
一方、日常生活における「ユニバーサルデザイン化(すべての人に通用する、すべての人にとって快適な計画や設計)」や、生活の拠点となる住宅や道路、公園、公共施設などについての「バリアフリー化(障壁となるものを取り除き生活しやすくする工夫)」については、着実に進んできてはいるものの、まだまだ十分とはいえません。障害のある人があらゆる分野に積極的に参加し活動するためにも、社会に存在する誤解や偏見、心のありようなども含む、すべてのバリアを取り除くことが大切です。
さらに、突然の災害に備え、どんな障害のある人にも対応できるような情報伝達システムの確立や、避難誘導・救助方法などの安全体制を確保しておくことも求められています。
福祉サービスの利用の促進
- 平成15年度から「支援費制度」が導入されることを受け、措置制度から利用制度への移行を円滑に進めるとともに、情報提供体制の整備や苦情解決の仕組みの導入を検討していきます。
- 判断能力の不十分な痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者の権利や財産を保護する「成年後見制度」において、身寄りのないケースなどの場合には、本人に代わって市が申し立てをできるように検討します。
ホームヘルパー
- 在宅の精神障害者への日常生活の支援をはかるため、家事援助等を行うホームヘルパー(訪問介護員)の派遣を実施します。
配食サービス
- 配食拠点施設となる委託先の拡大など環境整備に努め、重度の身体障害者も利用対象としたサービスの質・量の充実をめざします。
施設整備の推進
(単位:カ所)
施設の種類 | 平成13年4月(現状)身体 | 平成13年4月(現状)知的 | 平成17年度(目標)身体 | 平成17年度(目標)知的 |
---|---|---|---|---|
入所授産施設 | 1 | 1 | 1 | 1 |
通所授産施設 | 1 | 1 | 1 | 3 |
入所更生施設 | 2 | 3 | 2 | 3 |
通所更生施設 | 0 | 2 | 0 | 3 |
療護施設 | 1 | 0 | 1 | 0 |
デイサービスセンター | 1 | 1 | 2 | 2 |
グループホーム | 0 | 1 | 0 | 5 |
福祉ホーム | 0 | 0 | 1 | 1 |
合計 | 6 | 9 | 8 | 18 |
施設の種類 | 平成13年4月(現状) | 平成17年度(目標) |
---|---|---|
授産施設 | 1 | 2 |
グループホーム | 4 | 5 |
福祉ホーム | 2 | 2 |
福祉工場 | 0 | 0 |
援護寮 | 2 | 3 |
精神科デイケ | 6 | 6 |
小規模作業所 | 1 | 2 |
地域生活支援センター | 1 | 2 |
合計 | 17 | 22 |
施設の種類 | 平成13年4月(現状)身体 | 平成13年4月(現状)知的 | 平成17年度(目標)身体 | 平成17年度(目標)知的 |
---|---|---|---|---|
分場施設 | 0 | 1 | 0 | 3 |
小規模通所授産施設 | 0 | 0 | 1 | 3 |
小規模型デイサービスセンター | 0 | 0 | 1 | 0 |
施設の種類 | 平成13年4月(現状) | 平成17年度(目標) |
---|---|---|
小規模通所授産施設 | 0 | 1 |
防災体制の確立
- 「障害別の防災マニュアル」の作成について検討します。
住宅リフォーム
- 重度の身体障害者等が住宅などを改造する際に、助成の対象となる改修種目の拡大を検討します。
地域福祉の推進
- 平成15年度に「地域福祉計画」を策定し、地域における助け合い支え合いの意識を醸成します。
- ボランティアやNPOをはじめとする、市民活動の情報収集・提供および総合的な調整機関として、(仮称)「市民活動サポートセンター」の設置を検討します。
平成14年3月
〔編集・発行〕
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