特定建築物について
多数の人が使用または利用する建築物の維持管理に関して定められている環境衛生上必要な事項などについてご説明します。
特定建築物とは
「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」における「特定建築物」とは、次のように定められています。
次の用途に供される部分の延べ面積を3,000平方メートル以上有する建築物および専ら学校教育法第1条に規定する学校の用途に供される建築物で延べ面積が8,000平方メートル以上のもの。
- 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館または遊技場
- 店舗または事務所
- 学校教育法第1条に規定する学校以外の学校(研修所も含む。)
- 旅館
特定建築物の所有者、届出者ならびに維持管理権原者(当該特定建築物の維持管理について権原を有するもの)には、「建築物環境衛生管理基準」に従って空調や給排水などの維持管理を行う責務があります。届出の様式などについては、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」の施行に関する事務取扱要領で様式等を定めています。
建築物環境衛生管理基準
空気環境の調整
項目 | 基準 | 検査頻度 | 空気調和設備(注1) | 機械換気設備(注2) |
---|---|---|---|---|
浮遊粉じんの量 | 空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下 | 2月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
一酸化炭素の含有率 | 100万分の6以下 | 2月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
二酸化炭素の含有率 | 100万分の1000以下 | 2月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
温度 | 18度以上28度以下、居室における温度を外気の温度により低くする場合は、その差を著しくしないこと | 2月以内ごとに1回 | ○ | |
相対湿度 | 40%以上70%以下 | 2月以内ごとに1回 | ○ | |
気流 | 1秒あたり0.5メートル以下 | 2月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
ホルムアルデヒドの量 | 空気1立方メートルにつき0.1ミリグラム以下 | (注4) | ○ | ○ |
注1:空気を浄化し、その温度、湿度および流量を調節して供給(排出を含む。)をすることができる設備
注2:空気を浄化し、その流量を調節して供給をすることができる設備
注3:特定建築物の建築(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第13号に規定する建築をいう。)、大規模の修繕(同条第14号に規定する大規模の修繕をいう。)または大規模の模様替(同条第15号に規定する大規模の模様替をいう。)(以下「建築等」という。)を行ったときは、行った階層の居室において、当該建築等を完了し、その使用を開始した日以後最初に到来する測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回、測定すること。
空気調和設備の衛生措置
- 冷却塔
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- 供給水は水道法第4条に規定する水質基準に適合していること。
- 使用開始時および使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期にその汚れの状況を点検し、必要に応じ、清掃および換水等を行うこと。
- 1年以内ごとに1回、定期に清掃を行うこと(冷却水の水管についても同様)。
- 加湿器
-
- 供給水は水道法第4条に規定する水質基準に適合していること。
- 使用開始時および使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期にその汚れの状況を点検し、必要に応じ、清掃等を行うこと。
- 1年以内ごとに1回、定期に清掃を行うこと。
- 排水受け
- 使用開始時および使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期にその汚れおよび閉塞の状況を点検し、必要に応じ、清掃等を行うこと
給水および排水の管理水について
飲用水について
給水に関する設備(水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項に規定する給水装置(いわゆる水道直結)を除く。)を設けて人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用(旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項の規定による許可を受けた者が経営する施設(第4条の2において「旅館」という。)における浴用を除く。)のために水を供給する場合は、次の水質基準に適合する水を供給すること。また、水質検査を実施すること。
また、給湯水においても、中央給湯式の場合、水質検査を実施しなければなりません。
項目 | 基準値 | 検査頻度 | 水源、水道水および専用水道 | 水源、その他(注7) |
---|---|---|---|---|
遊離残留塩素 | 0.1ppm以上であること | 7日以内ごとに1回 | ○(注5) | ○(注5) |
一般細菌 | 1ミリリットルの検水で形成される集落数が100以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
大腸菌 | 検出されないこと。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
鉛およびその化合物 | 鉛の量に関して、1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○(注6) | ○(注6) |
亜硝酸態窒素 | 1リットルあたり0.04ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
シアン化合物イオンおよび塩化シアン | シアンの量に関して、1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
硝酸態窒素および亜硝酸態窒素 | 1リットルあたり10ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
四塩化炭素 | 1リットルあたり0.002ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
シス―1・2―ジクロロエチレン およびトランス―1・2―ジクロロエチレン |
1リットルあたり0.04ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
ジクロロメタン | 1リットルあたり0.02ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
テトラクロロエチレン | 1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
トリクロロエチレン | 1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
ベンゼン | 1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
塩素酸 | 1リットルあたり0.6ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
クロロ酢酸 | 1リットルあたり0.02ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
クロロホルム | 1リットルあたり0.06ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
ジクロロ酢酸 | 1リットルあたり0.04ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
ジブロモクロロメタン | 1リットルあたり0.1ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
臭素酸 | 1リットルあたり0.01ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
総トリハロメタン (クロロホルム、 ジブロモクロロメタン、 ブロモジクロロメタンおよびブロモホルムのそれぞれの濃度の総和) |
1リットルあたり0.1ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
トリクロロ酢酸 | 1リットルあたり0.2ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
ブロモジクロロメタン | 1リットルあたり0.03ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
ブロモホルム | 1リットルあたり0.09ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
ホルムアルデヒド | 1リットルあたり0.08ミリグラム以下であること。 | 測定期間(6月1日から9月30日まで)中に1回 | ○ | ○ |
亜鉛およびその化合物 | 亜鉛の量に関して、1リットルあたり1.0ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○(注6) | ○(注6) |
鉄およびその化合物 | 鉄の量に関して、1リットルあたり0.3ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○(注6) | ○(注6) |
銅およびその化合物 | 銅の量に関して、1リットルあたり1.0ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○(注6) | ○(注6) |
塩化物イオン | 1リットルあたり200ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
蒸発残留物 | 1リットルあたり500ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○(注6) | ○(注6) |
フェノール類 | フェノールの量に換算して、1リットルあたり0.005ミリグラム以下であること。 | 3年以内ごとに1回 | ○ | |
有機物(全有機炭素(TOC)の量) | 1リットルあたり3ミリグラム以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
pH値 | 5.8以上8.6以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
味 | 異常でないこと。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
臭気 | 異常でないこと。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
色度 | 5度以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
濁度 | 2度以下であること。 | 6月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
注5:給湯水の場合、末端の温度が55℃以上の場合、検査を省略することができます。
注6:水質検査の結果が基準に適合していた場合には、その次の回の水質検査においては省略可
注7:給水を開始する前に水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)の全項目について検査をすること。
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貯水槽・貯湯槽
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- 点検
- 1年以内ごとに1回、清掃をすること(簡易専用水道(有効容量が10立方メートルを超える受水槽)に該当している場合、水道法第34条の2第2項の規定に基づく管理に係る検査を受けなければなりません。(注8)
注8:書類検査とすることができます。
雑用水(水道水および専用水道からのみ供給する場合を除く)について
項目 | 基準値 | 検査頻度 | 目的:散水・修景・清掃(注9) | 目的:水洗便所 |
---|---|---|---|---|
遊離残留塩素 | 0.1ppm以上であること | 7日以内ごとに1回 | ○ | ○ |
pH値 | 5.8以上8.6以下であること。 | 7日以内ごとに1回 | ○ | ○ |
臭気 | 異常でないこと。 | 7日以内ごとに1回 | ○ | ○ |
外観 | ほとんど無色透明であること | 7日以内ごとに1回 | ○ | ○ |
大腸菌 | 検出されないこと | 2月以内ごとに1回 | ○ | ○ |
濁度 | 2度以下であること | 2月以内ごとに1回 | ○ |
注9: し尿を含む水を原水としないこと
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貯水槽
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- 点検
- 1年以内ごとに1回、清掃をすること
排水について
排水に関する設備(排水槽等)の掃除を6月以内ごとに1回、定期に行うこと
清掃
掃除は日常行うもののほか、大掃除を6月以内ごとに1回、定期に統一的に行うこと
ねずみ、昆虫等(注10)の防除
発生場所、生息場所、侵入経路やねずみ等による被害状況について、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、その結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
注10:ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物
空気調和設備等の維持管理および清掃等に係る技術上の基準
空気調和設備等の維持管理および清掃等については、上記のほか、技術上の基準が細かく定められています。それらについては、添付ファイルをご覧ください。
建築物環境衛生維持管理要領等について
厚生労働省では、法律や空気調和設備等の維持管理および清掃等に係る技術上の基準のほか、「建築物環境衛生維持管理要領」および「建築物における維持管理マニュアル」を定めています。内容については、厚生労働省ホームページでご確認ください。
帳簿書類の備え付けについて
次の書類を5年間保管しなければなりません。
- 空気環境の調整、給水および排水の管理、清掃並びにねずみ等の防除の状況(測定または検査の結果や設備の点検および整備の状況を含む。)を記載した帳簿書類
- 特定建築物の平面図および断面図
- 特定建築物の設備の配置および系統を明らかにした図面
- その他、維持管理に関し環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類
建築物環境衛生管理技術者の選任
特定建築物所有者等は、特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行なわれるように監督をさせるため、建築物環境衛生管理技術者免状を有する者のうちから建築物環境衛生管理技術者を選任しなければなりません。また、建築物環境衛生管理技術者が二以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者を兼ねることとなるとき、当該二以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者となってもその業務の遂行に支障がないことを確認する必要があります。
建築物環境衛生管理技術者は、当該特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に従って行なわれるようにするため必要があると認めるときは、当該特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するものに対し、意見を述べることができます。この場合においては、当該権原を有する者は、その意見を尊重しなければなりません。
届出が必要な場合について
次の場合、届出が必要です。
- 特定用途として使用に至った場合
- 所有者、管理技術者や構造設備等の変更
- 特定建築物として使用しなくなった場合など
届出者は、特定建築物の所有者(所有者以外に当該特定建築物の全部の管理について権原を有する者があるときは、当該権原を有する者)となります。なお、貯水槽の清掃、水質検査、ねずみ等の駆除を実施した場合や様式に記載しきれない分については、報告書等を添付してください。
報告書等の提出にあたってのお願い
- 測定内容(空気環境測定、給水栓の遊離残留塩素の測定等)により業者が異なる場合、特定建築物環境衛生管理技術者はそれぞれの項目について内容を確認すること。また、内容をまとめた報告書を提出すること。
- 用紙サイズはA4またはA3とすること
- 建物名、ビル管理会社名等を記載した表紙を付けないこと
- 各種届出書・特定建築物管理報告書等の控えに受付印が必要な場合(注11)は、あらかじめ必要部数を準備すること(保健所には来客者用のコピー機はありません。)。また、郵送での返信を希望する場合、返信用封筒を準備すること。
注11:空気環境の測定結果や清掃の記録等の保存義務はありますが、報告書の控えに保健所の受付印は必要なものではありません。
建築物の解体・改修工事を行う場合について
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