衛生害虫(ハチ)
ハチについて
ハチの仲間は、日本では約5000種が記録されていますが、ヒトを刺したり、不快昆虫として問題になるものはごく一部で、屋内に棲む寄生性のアリガタバチと、社会性ハチと呼ばれるアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチ、マルハナバチの仲間だけです。
他のハチにも強力な毒針を持つものとして、ドロバチ、アナバチ、ベッコウバチ、クマバチなどがいますが、これらは単独生活性で、手で捕まえたりしない限り刺すことはありません。また、社会性ハチも含め、いずれのハチも刺すのはメスだけで、オスは針も毒もありません。
社会性ハチは、女王バチを中心とした数十~数万の働きバチ(メス)が組織化された集団生活をしています。
ハチの一生
- 夏の終わりに新女王が産まれ、秋にオスと交尾し、朽ち木の中で越冬し、春に目覚めて単独で巣を作ります。寿命は1年。
- 女王はもっぱら産卵し、働きバチが多数羽化します。寿命は10~20日。
- オスは夏の終わりから秋にかけてのみですが多数産まれます。寿命は15~25日。
ハチの攻撃
ハチと偶然出くわしても、これはヒトがハチの飛行ルート(エサ場と巣の間)に入ってしまったただけであり、まず刺すことはありません。しかし、誤って巣に近づいて刺激すると、巣を守るために攻撃してくるので注意が必要です。特に9、10月はコロニーが最大となり、エサが少ないうえに、新女王の誕生やオスの発生で危険な状態になっています。
レベル | 人のハチ・ハチの巣への行動 | ハチの行動 |
---|---|---|
警戒 | 巣へ接近した時 | 巣の表に群がる。 |
威嚇 | さらに接近した時 | 対象物(ヒト)の周りを飛び回る。 |
攻撃 | 間接的に刺激を与えたり、威嚇を無視した時 | 興奮、刺す。 |
攻撃 | 直接刺激を与えた時 | 狂乱、乱舞する。 |
「警戒」、「威嚇」の段階は、まだ偵察の範疇で刺すことはないので、静かに後ずさりすれば大丈夫です。
刺されると、局所的被害(痛み、発疹、腫れ)のほか、遷延的反応(腫れ、痒みが長期に)が現れます。全身症状(ハチ毒そのものによるショック症状、アレルギー反応(アナフィラキシー))が現れる場合には、早めの手当てが必要です。
アシナガバチ類
普段は幼虫のエサとしてアオムシやケムシなどを食べてくれる益虫です。女王バチが単独で巣を作っている間は、ヒトに対する攻撃性はほとんどありませんが、働きバチは巣を守る習性があり、巣を刺激したりすると攻撃されます。
巣を駆除する場合には、市販されているハチ駆除用のエアゾールを用いて行うこともできますが、刺される可能性もあるので十分に注意してください。巣が大きくなってしまったあとなどでは、危険性を考えると専門業者に依頼したほうがよいでしょう。なお、巣は1年限りで棄てられます。
日本に生息するアシナガバチ類は11種で、人家やその周辺では次の4種がよく見かけられます。種によっては屋根裏などで集団越冬することもあります。
フタモンアシナガバチ
体長14~18ミリメートル、体は黒色で鮮やかな黄色の斑紋、軒下や庭木などに巣を作る、巣は横向きか下向きで細長い長円形
セグロアシナガバチ
体長21~26ミリメートル、体は黒色で黄褐色の斑紋、軒下や木の枝などに巣を作る、巣は灰褐色で平らな円形か不整円形
キアシナガバチ
体長21~26ミリメートル、体は黒色で鮮やかな黄色の斑紋、全体は黄色く見える、軒下や庭木などに巣を作る、巣は灰色または灰褐色で釣り鐘状
コアシナガバチ
体長11~17ミリメートル、体は黒色で赤褐色の斑紋、日当たりのよい軒下や低木などに巣を作る、巣は灰褐色で舟形に反ったような形
スズメバチ類
種によって食性は異なりますが、普段は幼虫のエサとして各種の昆虫やクモなどを捕獲するほか、樹液、花蜜、飲み残しのジュースなどにも群がります。春先、女王バチが単独で巣を作っている間は、ヒトに対する攻撃性はほとんどありませんが、働きバチが羽化し、その数が増加すると、巣に近づいたり刺激を与えると攻撃されます。
巣の外形は、一般に特有の縞模様のある球形で表面に1個の出入り口があります。駆除用に、スズメバチ用のエアゾールも市販されていますが、危険を伴いますので専門業者に依頼してください。なお、巣は1年限りで棄てられ、同じ巣を翌年に使用することはありません。
日本に生息するスズメバチ類は16種で、人家やその周辺に多いのはキイロスズメバチとコガタスズメバチです。
キイロスズメバチ
体長は、女王バチで25~28ミリメートル、働きバチは17~24ミリメートル、体は黒色に黄色の斑紋、飛んでいる時は橙黄色に見えます。
巣は軒下や壁間、樹木、崖などに作られ、日本生息種の中で体長は最小ですが巣は最大となります。夏場に営巣空間が狭くなると巣を作り直し、群れ全体で引っ越しをします。
攻撃性はかなり強く、巣の中の働きバチの個体数が多いので、巣を刺激した場合は集団で攻撃されることがあります。一方、エサ集めなどで巣を離れた働きバチは攻撃性が弱く、近寄っても刺しに来ることはありません。
コガタスズメバチ
体長は、女王バチで25~29ミリメートル、働きバチは21~27ミリメートル、体は黒褐色で腹部に黄帯があります。
巣は庭木などの低木、まれに軒下や崖などに巣を作ります。女王バチだけの時の巣は、トックリを逆さにしたような形をしていて、働きバチの羽化後は球形になります。
比較的温厚な性質で、巣に刺激を与えなければ、2~3メートルまで近づいても刺しに来ることはほとんどありません。
オオスズメバチ
スズメバチ類の中で最大種。体長は、女王バチで43~45ミリメートル、働きバチは27~40ミリメートル、頭部は橙黄色で大きく、胸部は黒色、腹部は黄橙色で黒帯があります。
巣はネズミなどの小動物の廃坑を利用した土中に作りますが、まれに樹洞や壁間などに巣を作ります。
非常に攻撃性が強く、巣へ近づいただけで追いかけて刺すことがあります。また、巣を離れ樹液を吸っている時などでも、近寄ったりすると攻撃されます。
ミツバチ類
スズメバチ類と違い、働きバチも越冬し、春に新女王バチが出現し、旧女王バチは働きバチの半数程度を連れて新しい巣を作るために巣を離れます。これを分蜂といい、この春の分蜂や、夏から秋に外敵に襲われた群れが逃げ去る時に空中を群舞してヒトに恐怖感を与えることがあります。また、分封した群れが庭木の枝などに大量に集まることがありますが、これらはおとなしく、蜂を刺激しない限り攻撃性はほとんど無く、1~2日すれば飛び去ります。
巣は、屋根裏や樹洞などに作られ、数年間に渡って使用されます。
日本には、在来種のニホンミツバチとヨーロッパからの移入種のセイヨウミツバチの2種が生息し、いずれも攻撃性は弱いですが、巣を刺激するとヒトを襲います。
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