令和4年度一般会計・特別会計決算審査意見
審査の対象
- 令和4年度秋田市一般会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市土地区画整理会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市市有林会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市市営墓地会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市中央卸売市場会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市公設地方卸売市場会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市大森山動物園会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市廃棄物発電会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市病院事業債管理会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市学校給食費会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市国民健康保険事業会計(事業勘定)歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市母子父子寡婦福祉資金貸付事業会計歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市介護保険事業会計(保険事業勘定)歳入歳出決算
- 令和4年度秋田市後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算
- 令和4年度各会計実質収支に関する調書
- 令和4年度財産に関する調書
審査の期間および場所
令和5年6月28日から同年8月31日まで
(於:監査委員室および監査委員事務局)
審査の方法
令和4年度秋田市一般会計・特別会計歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書および財産に関する調書は、関係法令に基づいて調製されているか、計数が関係する証書類と符合するかを確認した。また、秋田市監査基準に準拠し、関係書類の閲覧、帳簿記録について関係者から説明を求めるなどの手続によって実施し、予算の執行状況の適否について審査した。
審査の結果および意見
審査に付された各会計歳入歳出決算および決算附属書類は、いずれも関係法令に基づいて調製されており、計数は証書類と符合し正確であると認めた。
また、予算の執行は、おおむね適正であることを認めた。
決算総額
本年度の一般会計の決算額は、前年度に比較して、歳入が115億4,181万円(7.2%)減の1,497億9,295万円、歳出が116億6,749万円(7.3%)減の1,475億6,936万円となっている。これに特別会計を加えた決算総額は、歳入が31億4,715万円(1.3%)減の2,366億9,875万円、歳出が31億1,062万円(1.3%)減の2,324億2,259万円となっており、いずれも前年度を下回っている。
一般会計では、歳入歳出差引額(形式収支)が22億2,359万円となり、前年度の20億9,791万円を上回っている。また、翌年度への繰越財源は、前年度の6億1,053万円に対し、本年度は7億6,254万円となっており、形式収支から翌年度への繰越財源を控除した実質収支は、前年度より2,633万円(1.8%)減少して14億6,105万円の黒字となっている。これに特別会計を加えた実質収支の総額は、前年度より1億7,411万円(4.7%)減少して、35億1,362万円の黒字となっている。
普通会計における財政状況
地方財政統計上の統一会計区分である普通会計における決算収支の状況は、実質収支が18億3,671万円の黒字、前年度実質収支を差し引いた単年度収支が6,676万円の赤字となっている。これに財政調整基金の積立金および取崩額、市債繰上償還額を加減した実質単年度収支は、1億6,419万円の赤字となった。
主な財政指標は、前年度に比較して、財政力指数、経常一般財源比率、実質公債費比率が良化し、実質収支比率、経常収支比率、義務的経費比率、公債費負担比率は悪化している。
一般会計の歳入
一般会計の収入済額のうち自主財源は、前年度に比較して9億5,693万円(1.6%)増加し、616億4,302万円となっている。これは、寄附金がふるさと納税の減などにより2億1,810万円(36.7%)減少したものの、繰入金が財政調整基金繰入金の増などにより8億60万円(25.0%)、諸収入が地方総合整備資金貸付金元金収入の増などにより6億5,996万円(8.2%)、市税が、新型コロナウイルス感染症に係る特例の終了による固定資産税の増や、雇用、所得環境の改善に伴う個人市民税の増などにより4億7,175万円(1.1%)増加したこと等による。
一方、依存財源は、前年度に比較して124億9,874万円(12.4%)減少し、881億4,993万円となっている。これは、市債があきた芸術劇場整備事業に係る文化施設整備債などの減により52億4,270万円(29.7%)、国庫支出金が子育て世帯への臨時特別給付金給付事業費補助金や臨時道路除雪事業費補助金などの減により45億4,381万円(12.2%)、地方交付税が除排雪に係る経費の減などにより交付額が減少したことから15億6,052万円(6.7%)、県支出金が新型コロナウイルス対策生活応援事業費補助金の減などにより10億1,966万円(9.0%)、それぞれ減少したこと等による。
自主財源と依存財源を合計した歳入総額は、115億4,181万円(7.2%)減少して、1,497億9,295万円となっている。
自主財源比率は、依存財源である市債が減少したことなどにより、前年度の37.6%から3.6ポイント上昇して、41.2%となっている。
収入未済額は、前年度に比較して4,142万円(1.3%)減少し、32億6,450万円となっており、これから繰越事業に係る国庫支出金や県支出金などの収入未済額を除くと、1億7,109万円(9.2%)減の16億9,573万円となっている。
このうち、市税の収入未済額は、前年度に比較して2億2,137万円(14.8%)減少し12億7,715万円となっており、収入率は、現年課税分が0.2ポイント上昇して99.3%、滞納繰越分が5.3ポイント低下して19.3%、全体では0.3ポイント上昇して96.7%となっている。
また、繰越事業分などの収入未済額を除いた税外収入の収入未済額は、前年度に比較して5,028万円(13.7%)増加し、4億1,857万円となっており、収入率は現年度分が5.3ポイント低下して91.7%、過年度分が1.0ポイント低下して7.6%、合計では4.4ポイント低下して71.4%となっている。
不納欠損額は、前年度に比較して9,937万円(77.6%)増加し、2億2,738万円となっている。
一般会計の歳出
一般会計の支出済額は、前年度に比較して116億6,749万円(7.3%)減少し、1,475億6,936万円となっている。
目的別にみると、増加した主なものは、消防費が消防庁舎改修事業などにより8億2,691万円(22.7%)増の44億7,747万円、衛生費が新型コロナウイルス感染症対策事業の増加などにより7億8,745万円(5.7%)増の144億9,305万円等となっている。
一方、減少した主なものは、総務費があきた芸術劇場整備事業の本体工事が完了したことなどにより57億7,790万円(28.0%)減の148億8,015万円、土木費が除排雪関連経費の減少などにより30億2,831万円(15.7%)減の163億139万円、民生費が子育て世帯臨時特別給付金給付事業や住民税非課税世帯等臨時特別給付金給付事業が終了したことなどにより28億6,386万円(4.8%)減の568億1,725万円等となっている。
次に、性質別にみると、消費的経費は、補助費等が12億2,446万円(7.5%)増の175億2,867万円、物件費が5億8,413万円(3.0%)増の199億9,973万円となったが、扶助費が39億3,269万円(9.1%)減の392億4,890万円となったことなどにより、全体では40億4,890万円(3.9%)減少して、1,008億5,797万円となっている。
一方、投資的経費は、普通建設事業費単独分が22億820万円(33.6%)増の87億8,814万円、普通建設事業費補助分が79億3,961万円(62.1%)減の48億5,326万円、災害復旧事業費が9,375万円(35.3%)減の1億7,179万円となったことなどにより、全体では57億8,903万円(28.7%)減少して、143億8,345万円となっている。
また、その他の経費は、公債費が5億8,928万円(4.5%)増の135億9,872万円となったものの、積立金が19億7,065万円(64.1%)減の11億335万円、貸付金が2億5,956万円(3.8%)減の66億656万円となったことなどにより、全体では18億2,956万円(5.4%)減少して、323億2,794万円となっている。
この結果、歳出の構成比率は、消費的経費が2.4ポイント上昇して68.3%、投資的経費が2.9ポイント低下して9.8%、その他の経費が0.5ポイント上昇して21.9%となっている。
不用額は、前年度に比較して5億1,741万円(7.6%)減少し、62億6,729万円となっており、予算現額1,602億9,981万円に対する割合である不用率は、前年度と同じ3.9%となっている。
特別会計
13特別会計の決算総額は、前年度に比較して、歳入が83億9,466万円(10.7%)増の869億581万円、歳出が85億5,687万円(11.2%)増の848億5,324万円となっている。
この結果、形式収支および実質収支は、ともに20億5,257万円となり、前年度に比較して、形式収支は1億6,221万円(7.3%)、実質収支は1億4,778万円(6.7%)、それぞれ減少している。
一般会計からの繰入金については、廃棄物発電会計および病院事業債管理会計を除く11会計の総額が99億9,059万円となっており、前年度に比較して、1億5,823万円(1.6%)減少している。減少額が大きい会計は土地区画整理会計で、2億3,145万円(16.9%)の減となっている。増加額が大きい会計は後期高齢者医療事業会計で、7,111万円(8.1%)の増となっている。
また、繰入金の総額は、13会計の歳入総額869億581万円の11.5%を占めている。収入済額に対する繰入金の割合が高い会計は、大森山動物園会計が収入済額5億3,392万円のうち3億6,055万円(67.5%)、市有林会計が収入済額2億2,442万円のうち1億3,451万円(59.9%)、中央卸売市場会計が収入済額8,575万円のうち4,230万円(49.3%)となっている。
収入未済額は、前年度に比較して1,013万円(0.3%)増加し、32億7,648万円となっている。繰越事業に係る国庫支出金などの収入未済額を除いたもののうち、最も収入未済額が多額である会計は国民健康保険事業会計で、前年度に比較して、9,091万円(4.2%)減の20億9,468万円となっている。次いで、介護保険事業会計の1億1,663万円(前年度比1,560万円、11.8%減)、後期高齢者医療事業会計の3,680万円(同179万円、5.1%増)などとなっている。
不用額は、前年度に比較して、5億3,492万円(33.0%)増加し、21億5,536万円となっており、予算現額881億64万円に対する割合である不用率は、0.4ポイント上昇し2.4%となっている。
意見
令和4年度における我が国の経済は、ここ数年のコロナ禍による低迷から、ウィズコロナ生活の浸透等により持ち直しつつあったものの、ウクライナ情勢を契機とした原材料費やエネルギー価格の高騰、急速な円安の進行など景気の下振れにつながる要因も多く、物価上昇が賃金の上昇を上回り家計を圧迫するなど、市民生活への大きな影響が見られた1年であった。
このような状況下における令和4年度の本市決算額をみると、一般会計の歳入については、繰入金や諸収入、市税などが増加したものの、市債や国庫支出金などが減少したため、前年度より減少した。また、歳入総額に占める自主財源と依存財源の割合は前年度並みであり、自主財源比率は依然として50%を下回る状況が続いている。
一方、歳出については、住民税非課税世帯等電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金給付事業などが増加したものの、子育て世帯臨時特別給付金給付事業や住民税非課税世帯等臨時特別給付金給付事業、市立中学校空調設備導入事業が終了したほか、降雪量が見込みより少なかったことによる除排雪関係経費の減などにより、前年度より減少した。
この結果、実質収支は黒字となったものの、実質単年度収支については、基金の取崩額が積立額を上回ったため赤字となっている。
また、財政調整基金と減債基金の主要2基金の合計残高は54億3,816万円となり、前年度に比較して10億9,341万円(16.7%)減少している。
本市では、人口減少対策を最重要課題と位置づけ、第14次秋田市総合計画「県都『あきた』創生プラン(注:1)」に掲げた施策と事業に取り組んでいるところであるが、今後の見通しとして、人口減少に伴う市税の減収や地方交付税の減額が危惧されるほか、老年人口(65歳以上)の増加に伴う介護・医療費の増大が予測されている。また、古川流域治水対策事業や日新小学校増改築等事業などの大規模事業に係る政策経費や老朽化した公共施設等の改修・更新費用などの増加も想定されることから、財政状況は一層厳しさを増していくものと考えられる。
こうした中、市民生活に必要な行政サービスの水準を保ちつつ、健全な財政運営を維持していくためには、基金の取崩しや繰越金に依存しない、歳入規模に見合った歳出構造を堅持することが必要である。
このため、全ての施策・事業について、必要性、有効性、経済性、効率性の観点から優先順位を精査したうえで、取捨選択や見直しを徹底し、限られた財源の適切な活用に努められたい。
また、老朽化した公共施設等の改修・更新に当たっては「秋田市公共施設等総合管理計画(注:2)」に基づき、利用者の安全確保を図るとともに、施設の長寿命化や保有量の見直しなどを進め、将来の財政負担の軽減を図られたい。
同時に、パンデミックやこのたびの豪雨がもたらした大規模災害発生の際には、市民の生命・財産を守ることはもとより、生活の日常化と地域経済活動の再興に向けた迅速な取組が最優先に求められる。
こうした危機管理への的確な対応は、財政基盤の安定と機能的な運営があってこそ可能であり、臨機に活用可能な財源である財政調整基金において、一定残高を着実かつ計画的に確保するなどの配慮が不可欠である。
不用額については、国の補正予算の編成時期による影響もあり毎年度多額となっているが、さまざまな行政需要に時機を逸することなく応えるためには、不用額の発生を抑えて財源を有効に活用していくことが重要である。
このため、予算の見積りは可能な限り精緻に行うとともに、不用額の発生理由を的確に分析し、予算の編成・執行に活かしていくことが必要である。
市債については、前年度に比較して臨時財政対策債を除いた借入額は減少している。公共施設の老朽化対策などにより市債の需要が今後も継続することが見込まれることから、発行に当たっては、将来世代に過度な負担を強いることのないよう、プライマリーバランスに留意し、事業の必要性に対する的確な判断と年度間調整などにより、借入額が償還額を上回らない範囲にとどめるとともに、適切に管理されたい。
また、公債費関係指標においては、実質公債費比率が良化しているものの、公債費負担比率は悪化している。いずれの指標も、類似都市との比較では良好といえず、注視していく必要がある。
収入未済額は、市税などの債権管理がおおむね適切に行われていることから減少傾向にあるものの、依然として多額であり、市民負担の公平性・公正性の確保を図る観点から、引き続き、新たな発生の防止と、未納者個々の状況に応じたきめ細かい納入指導を行うなど更なる縮減に努められたい。
また、不納欠損処分に当たっては、十分な調査の上、慎重かつ適正に対処されたい。
特別会計については、廃棄物発電会計および病院事業債管理会計を除く11会計で一般会計からの繰入れを受けている。その額は前年度に比較するとわずかに減少しているものの、特別会計は、一般会計と区分して特定の歳入をもって特定の歳出に充てるものであることから、事業の精査と創意工夫により自己収入の増加を図るとともに、さらなる経費節減に努め、一般会計からの繰入れを必要最小限にとどめるよう求めるものである。
収入未済額については、前年度に比較すると減少しているものの、依然として多額であることから、その縮減に努められたい。
また、不納欠損処分に当たっては、十分な調査の上、慎重かつ適正に対処されたい。
新型コロナウイルス感染症の流行や今夏の豪雨災害のような非常時においては、通常の市民サービスを行いつつ、感染拡大防止や避難所運営、災害復旧など緊急的な施策事業にも注力しなければならない。
こうした状況下においても、市民サービスの水準を確保するためには、事務の効率化や事業の選択と集中を一層推進し、限られた経営資源で最大の効果を発揮することが必要であり、全庁を挙げて行財政改革を徹底されたい。
本市においては、パンデミックにより落ち込んだ経済の回復や災害に強いまちづくりを進めるとともに、子ども政策の充実・加速化や脱炭素社会の実現、DX(注:3)の推進など、将来を見据えて各種施策を積極的に展開していかなければならない。
そのためには、職員一人ひとりが、本市を取り巻く社会経済情勢はこれまで以上に厳しいものであることを再認識のうえ、職務の遂行に当たっては、自らが将来世代に対して責任ある判断と選択を行うという気概を持つとともに、事務事業全般にわたり関係法令等を遵守しながら、細心の注意をもって適正執行に努められたい。
注:1 第14次秋田市総合計画「県都『あきた』創生プラン」
市政運営の基本方針として、時代の変化に合わせ、目指すべき将来の姿やまちづくりの方向性を示すもので、人口減少・少子高齢化をはじめとした本市を取り巻く課題や、新型コロナウイルス感染症の影響を含む社会の変容などを踏まえ、令和3年度から令和7年度までの5年間を計画期間として令和3年3月に定めた。
注:2 秋田市公共施設等総合管理計画
公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進し、市民ニーズへ適切に対応するとともに、将来負担の軽減を図ることを目的に、平成29年度から令和8年度までの10年間を計画期間として公共施設等マネジメント方針等を平成29年3月に定め、令和4年1月に中間年度の見直しを行った。
注:3 DX
デジタル・トランスフォーメーションの略で、IT(情報技術)が社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革のこと。
詳細については、添付ファイル「令和4年度一般会計・特別会計決算および基金運用状況審査意見書」でご確認ください。
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