令和2年度秋田市エイジフレンドリーパートナー研修会
令和3年1月25日(月曜日)、秋田市役所5階 正庁にて、エイジフレンドリーパートナーを対象とした研修会を開催しました。
高齢者にやさしい地域社会づくりの推進にあたり、ビジネスを通した地域課題の解決について学ぶことを目的に実施し、パートナー事業者・団体 23名(19社)が参加しました。
参加者からは、高齢者雇用について、「短時間で勤務する高齢者の採用方法や事例などをもっと知りたい」、パートナーの取組紹介について、「周知の大切さなど、実際の取組が理解しやすく、参考になった」「身近で、大きな手間なく、高齢者への配慮がされていた」などの声をいただきました。
第1部 講演
第1部では、特定社会保険労務士 小笠原浩之氏、(株)ALL-A 営業部 部長の佐藤雄介氏のお二方からご講演いただきました。
1.「職場における高年齢者の効果的活用術」
講師:特定社会保険労務士 小笠原 浩之氏
高齢者雇用のポイントや支援などについて、ご講演いただきました。
要旨
1 超高齢社会の現状と将来予測
令和元年10月1日現在、秋田県は高齢化率が37.2%で全国1位。令和27年の予測値では高齢化率が50.1%、県人口の半数以上となる(全国1位)。
若い労働力の確保が更に困難となり、高齢者雇用が増えるため、企業経営では環境の変化への対応が求められている。
2 秋田県内の雇用情勢
秋田県の有効求人倍率は、令和元年12月頃までは約1.5倍で推移し、大変な人手不足の状態だったが、令和2年に入り徐々に低下し、令和2年11月には1.25倍となっている。新型コロナウイルスにより、企業活動がダメージを受け、求人を慎重にするなどの変化が現れていることが原因といえる。
コロナ収束後、事業活動が回復すると、人手不足問題が再燃する可能性は非常に高く、高年齢者や女性、障がい者や外国人といった人材のさらなる活用が必要である。特に、経験や知識が豊富な高年齢者の上手な活用が、非常に大きいポイントになると思われる。
3 高年齢者の就業意欲
現在の法律では65歳までの雇用確保が義務化されているが、内閣府の統計資料によると、65歳を超えて働きたい方が多数を占め、59%にもなっている。
我が国の超高齢社会は進行し、人手不足の問題は解消していない。高齢者は、長く働きたいという非常に高い意欲があり、その能力を効果的に引き出すことが、超高齢社会における企業の競争力強化に繋がる。
4 公的機関による事業主への支援
意欲のある高年齢者が求められる社会となり、高齢従業員が安心して働ける社内体制の整備が非常に重要になる。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、公的支援機関として、企業支援を行っている。
- 専門家(プランナー、アドバイザー)による相談対応
- 助成金の受付
- シンポジウム、コンテストの実施(なお、コンテストへは県内の企業も応募している)
- 情報誌 月刊エルダーの発行や事例集作成
- 都道府県別の地域ワークショップの開催(令和2年11月に秋田市で実施)
5 高年齢者雇用の際の留意点
労働者を雇用する際には、世代ごとの特性を理解し、その能力を引き出すことが重要である。一般的に高年齢者を雇用する際の留意点としては、次の4点がある。
(1) 高年齢者の特性を理解する
<高年齢者の長所として活用すべき点>
- 豊富な経験によって身についた熟練的器用さ
- 長い期間いろいろな経験を積み重ねたこと等に基づいて判断する能力(結晶性知能)
- 突発事態に強い
- まじめで責任感が強い
<活用できる場面(マニュアルに頼り切れない領域で大いに生かせる)>
- 機械に頼り切れない生産現場
- 対外折衝の場面
- 顧客からの苦情処理の場面
- 若年者の教育(技術・仕事観などの伝承)
(2) 高年齢者の就業ニーズに応える
例えば、短時間労働や日数の少ない働き方のように、多様なニーズに応じられる選択肢の確保が大事になる。
(3) やる気を起こさせる
事例1 功績を認める-褒めたり、認めたりすることで能力を引き出す
社内表彰制度を利用し、高年齢者を表彰する機会を意識的に設けている。
事例2 経営に積極的に参画させる
高年齢者は職場の問題を感覚的に把握している場合があるため、社内の業務改善活動に参加させて、積極的に意見を聞く。
(4) 経営課題を達成に繋がるような活用をする
超高齢社会が進行する中で、売り上げ拡大や収益力向上、顧客満足といった経営課題を達成するためには、高齢社員を活用していくという視点が必要。
<高齢社員の活用>
(1)同世代の視点から、高齢消費者を満足させるアイデアを出してもらう
(2)高齢消費者に対する接客を、高齢従業員にさせる
6 県内企業の取り組み事例
事例1 能力を賃金に反映させる仕組み作り(人事考課表の作成)【建設業】
高齢従業員の意欲向上につながり、後輩への助言や技能の伝承などを積極的に担うようになった。
労働環境の改善などが、やる気の維持や作業効率化につながった。
事例2 社内技能検定制度の導入【建設業】
全年齢層が目標に向かって一丸となり、結果的に高年齢者の存在が若年者のモチベーションアップ、スキルアップに繋がる役割を果たしている。
「技術力」と「人員」の確保が達成された。
事例3 健康管理・安全衛生の徹底 【運輸業(タクシー業)】
「自動日報装置」導入で運転日報記載の負担が減少したほか、希望に応じた勤務時間を実現したことにより、乗務時の安全性が確保された。
質疑応答
質問1:公的機関の支援の概要というところで、高齢者雇用の65歳超雇用推進プランナー、高年齢者雇用アドバイザーへの相談や助言をいただく場合、お金がかかるものなのか。
回答1:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の相談、助言のサービスは、無料で行われています。基本的にこの機構のサービスは、一部の成果物を作るサービス以外はすべて無料なので、何か相談がある場合は、機構に連絡いただきたい。機構では皆様のご相談内容を伺い、その後どのような支援の形を取るか、判断させていただく。
2.「シニア情報ポータルサイトについて」
講師:株式会社ALL-A 営業部 部長 佐藤 雄介氏
令和3年1月末に開設した高齢者向けの情報ポータルサイトなどについて、ご講演いただきました。
要旨
1 プラっと!とは
シニア世代に向けた、さまざまな情報を集めたサイト。
「プラっと!」の由来は、プラチナ世代に、ぷらっと気軽に活用してほしい、プラットホーム、人が集まる場所という意味を込めている。
シニアがインターネットを使用して調べていることの約7割が、主にニュースや情報の検索。シニア向けの情報発信を行う本サイトは、高齢者がセカンドライフを楽しむことができるような情報をパソコンやスマートフォンから閲覧可能。
2 サイト内に掲載される情報
(1) イベント・教室情報
秋田市主催のイベント、各団体のイベント、大学講座 など
(2) 地域の情報
地域にあるお店、地域にある隠れスポットの紹介 など
(3) 趣味と健康
健康に関する情報、各種サークル活動の紹介 など
(4) プラっと!コラム
特定の記者による連載コラム など
(5) みんなの投稿
みんなの投稿機能を利用して、自分たちの情報を発信する参加型コンテンツ(投稿フォームから必要事項を入力、送信)
趣味やサークル活動、イベントへの参加について投稿が可能。
<みんなの投稿 シニアリポーター募集>「プラっと!」への投稿を行ってくれるシニアリポーターを募集中。
協賛企業も募集中。
第2部 エイジフレンドリーパートナーの取組紹介
エイジフレンドリーパートナーとしての取組状況をパートナー事業者の株式会社むつみワールドからご紹介いただきました。
パートナーとしての取組について
取組紹介事業者:株式会社むつみワールド 情報戦略室 室長 天野 厚助氏
要旨
株式会社むつみワールドの取組
1 屋外スペースと建物
(1) 近隣住民が近くで簡単に買い物ができるよう、本社前でへ野菜を販売
(2) 町内会や会社周辺の方、民生委員の方から、歩いているときにちょっと座って一休みできるところがあると助かるという声を受け、会社敷地内にベンチを設置
2 交通機関
車椅子利用者などの利便性に配慮し、本社前に乗降しやすい駐車場を確保
3 住居
それぞれの家族の住み方、暮らし方についてともに考える、バリアフリーについての無料相談を実施(月1~2人、年間で20件ぐらい)
4 社会参加
ラジオ体操や竿燈の練習、老人会のイベントなどに、駐車場スペースを無料貸し出し(現在は、コロナウイルス感染拡大防止対策のため行っていない)
5 尊敬と社会的包摂
(1) 認知症の方や家族に失礼のない対応ができるよう、認知症サポーター養成講座を受講
(2) 顧客の高齢な大家さんやその家族を対象に、終活、相続について勉強会を実施
6 市民参加と雇用
仕事を整理して、業務プロセスを分け、担当する部分を明確にする作業を行い、持てる能力を十分に発揮できる体制がとられたうえでの定年社員継続雇用の実施
7 コミュニケーションと情報
顧客へ伝えたい情報が確実に届くよう、文字を大きくし、A4からA3の大きさへ変更、また、ユニバーサルデザインについて受講した社員による見えやすい色を使用した分かりやすい資料の作成
8 地域の社会支援と保険サービス
AEDを設置し、近隣の方も使えるよう会社玄関に表示
今後の取組
社内で新しいエイジフレンドリーの考え方を検討した際に、コロナ禍において、「分断」というのが社会に起きているように思われ、その状況下での「つながり方の見直しと、そのサポート」ができるということが結論となった。
住まいのプロとして『どのようにしてつながれるか』を考え、次の2点において今後取り組んでいく。
(1)新ライフスタイル提案 → IT通信環境に対応した住まいの無料相談
- リモートワーク環境で、テレビを使って孫と話をする、相続の相談を円滑にできるようにサポートする
- リモートワーク中の騒音問題に対応した、騒音対策のリフォームについて提案 など
(2)“直接行ける“価値向上 → 近隣の環境整備をさらに進める
社屋周辺を毎朝15分清掃、また月1回60分整備を行う
また、今年は「秋田弁の勉強会」を社内外問わず開催していくことを最も強化していきたい。都市集中型の構造は危険であると考え、地方に行こうとしている若者が多い中で、それを受け入れる体制として、実は方言というのが大きな壁になっている。就職や結婚で初めて秋田に来て、電話で高齢者と話をすると、応対もままならない。方言の大切さを感じ、その伝え方を学ぶ、秋田弁の勉強会をすることで、リモートでも対面でも年齢問わずに、言葉で繋がるということを実現できればと考えている。
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このページに関するお問い合わせ
秋田市福祉保健部 長寿福祉課 エイジフレンドリーシティ推進担当
〒010-8560 秋田市山王一丁目1番1号 本庁舎2階
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