危険物施設の定期点検について
定期点検の必要性
- すべての製造所等の所有者等には、その位置、構造および設備の技術上の基準(消防法第10条第4項)を維持する義務が課せられています。(消防法第12条第1項)
- 危険物施設における火災・漏えい事故の原因は、火災では管理・確認不十分等の人的要因が、漏えいでは腐食劣化等の物的要因によるものが多くなっており、これら危険物施設において発生する火災、漏えいなどの事故は、人命や財産に大きな被害を与えるばかりでなく、環境汚染など周囲に多大な影響を与えることになります。
- 施設の異常を早期に発見し、被害を最小限にとどめるためには、日常点検はもちろん、「定期点検」を適正に実施することが重要です。
定期点検が必要な施設
消防法第14条の3の2により、定期点検の必要な施設の所有者等は、その構造および設備が技術上の基準に適合しているかどうかについて、定期に点検し、その点検記録を作成し、一定期間保存することが義務付けられています。
また、これに反し点検を実施せず、虚偽の点検記録を作成または点検記録を保存しなかった場合は、罰金または罰則が適用される場合があります。
点検が必要となる施設は以下のとおりです。
定期点検が必要な施設(危令第8条の5、危則第9条の2)
施設区分 | 条件 |
---|---|
製造所 | 地下タンクを有するもの 指定数量の倍数が10以上 |
屋内貯蔵所 | 指定数量の倍数が150以上 |
屋外タンク貯蔵所 | 指定数量の倍数が200以上 |
屋外貯蔵所 | 指定数量の倍数が100以上 |
地下タンク貯蔵所 | すべて |
移動タンク貯蔵所 | すべて |
給油取扱所 | 地下タンクを有するもの |
移送取扱所 | すべて |
一般取扱所 | 地下タンクを有するもの 指定数量の倍数が10以上(指定数量の倍数が30以下で、かつ、引火点が40度以上の第4類の危険物のみを容器に詰め替える一般取扱所を除く。) |
次の対象物は除きます。
- 鉱山保安法第19条第1項の規程による保安規程を定めている製造所等
- 火薬類取締法第28条第1項の規定による危害予防規程を定めている製造所等
- 移送取扱所のうち、配管の延長が15キロメートルを超えるものおよび配管に係る最大常用圧力が0.95メガパスカル以上で、かつ、配管の延長が7キロメートル以上15キロメートル以下のもの
具体的な実施項目
定期点検において点検すべき内容、点検を実施することができる者、点検の実施時期などは「危険物の規制に関する規則」に定められています。
主な内容は下記のとおりです。
点検すべき内容
位置、構造および設備が技術上の基準に適合しているか否かについて実施する。
点検を実施することができる者
- 危険物取扱者
- 危険物施設保安員
- 危険物取扱者の立会いを受けた者
点検の実施時期
1年に1回以上
点検記録の記載事項
- 点検を実施した製造所の名称
- 点検の方法および結果
- 点検年月日
- 点検を行った者の氏名
点検記録の保存期間
3年間(消防機関に報告する義務はありません。)
定期点検記録表
総務省消防庁からの通知「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3年5月29日付け消防危第48号消防庁危険物規制課長通知)により、施設区分ごとに定期点検が示されており、この定期点検表の項目について点検します。
定期点検関連通知
総務省消防庁通知
定期点検記録表
特定の施設に定められている点検項目
災害発生防止の観点から、定期点検記録表の項目を補完する点検を実施しなければならない施設があります。
該当する施設は、「危険物の規制に関する規則」に定められており、一定の屋外タンク貯蔵所、移動貯蔵タンク、地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設で実施しなければなりません。
屋外タンク貯蔵所の「不等沈下」および「泡の適正な放出を確認する一体的な点検」について
屋外タンク貯蔵所の不等沈下の点検方法および固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所の泡の適正な放出を確認する一体的な点検の具体的な方法については、総務省消防庁から「屋外タンク貯蔵所の不等沈下の点検方法に係る運用について(通達)」(平成8年2月13日消防危第28号)および「固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所の泡の適正な放出を確認する一体的な点検に係る運用について」(平成17年3月30日消防危第63号)により示されております。
「不等沈下」および「泡の適正な放出を確認する一体的な点検」関連通知
総務省消防庁通知
- 屋外タンク貯蔵所の不等沈下の点検方法に係る運用について(通達) (PDF 109.3KB)
- 固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所の泡の適正な放出を確認する一体的な点検に係る運用について (PDF 13.9KB)
地下貯蔵タンク等の「漏れの点検」について
地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設においては、「漏れの点検」を実施しなければなりません。「漏れの点検」はガスや液体により、タンクおよび配管に気密漏洩がないかを確認する点検です。
地下貯蔵タンクおよび地下埋設配管を有する施設において、地下埋設箇所に腐食劣化による穴が生じ、危険物が流出する事故が多く発生しています。
地下埋設箇所は、目視では発見することができないため、「漏れの点検」の実施が定められています。
この写真は危険物施設の地下貯蔵タンク底部に穴が開いた事故の状況です。土壌中のため発見が遅れ、大量の危険物が流出した事例です。
具体的な方法としては、総務省消防庁から「地下貯蔵タンク等および移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16年3月18日付け消防危第33号消防庁危険物保安室長通知)等により示されております。(平成19年3月28日付け消防危第66号で一部改正されております。)
「漏れの点検」関連通知
総務省消防庁通知
- 地下貯蔵タンク等および移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について (PDF 330.5KB)
- 「地下貯蔵タンク等および移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」の一部改正について (PDF 543.5KB)
- 既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策等に係る運用について (PDF 285.8KB)
点検実施時期
原則1年に1回以上実施しなければなりません。
ただし、完成検査日や地下貯蔵タンクの取替えからの経過年数により、3年に1回以上となる場合があります。
詳細は、以下のPDFで確認いただけます。
- 地下貯蔵タンク等および地下埋設配管の漏れの点検周期 地下貯蔵タンク等の定期点検(漏れの点検) (PDF 11.4KB)
- 地下貯蔵タンク等および地下埋設配管の漏れの点検周期 地下埋設配管に係る定期点検(漏れの点検) (PDF 10.6KB)
異常が発見された場合は?
定期点検で異常が発見された場合、もしくは技術上の基準に適合しない状態が判明した場合は、速やかに消防本部予防課へ連絡をしてください。改修工事を行う場合、内容によっては変更許可申請や軽微な変更届出が必要となる場合があります。
日常点検の重要性
近年は施設の維持管理不適などソフト面による事故のほか、施設の老朽化や腐食等劣化などハード面による事故が増加傾向であります。
事故の未然防止、異常の早期発見には定期点検(法定点検)のみならず、日常点検(自主点検)を行うことが非常に有効です。特に設備機器の不具合の場合、腐食劣化による危険物の漏えい事故が多く発生しておりますので、始業時、終業時等に設備機器点検や危険物の在庫管理を実施し、事故の未然防止に努めましょう!
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秋田市消防本部 予防課
〒010-8560 秋田市山王一丁目1番1号 消防庁舎
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