平成30年度 秋田市エイジフレンドリーシティカレッジを開催しました
平成30年11月2日(金曜日)、秋田市役所3階 中央市民サービスセンター洋室4にて、桑原静氏を講師に迎え、秋田市エイジフレンドリーシティカレッジを開催しました。年齢を重ねても地域社会とのつながりを持ち、生きがいを見いだせる「場づくり」についての講演を行い、20代から80代まで68名の一般市民の方が参加しました。
講演「100歳になっても私らしく地域で輝く」
シニアに期待される「労働力」と「消費」
人口減少により、労働人口が不足しており、シニアになっても元気なうちは働くことが期待されている。年金をもらいながら、年金で足りない分を少し働く「半年金半就労層」では、「旅行に行く」、「食事に行く」など消費が伸びている。年金+αの形で、無理なく働くシニア層が増えると、日本が元気になり、消費も伸びる。
高齢者が働くことは珍しくなくなったが、就く職種は警備などの保安業や清掃業務など、いわゆる裏方の仕事が多く、パートタイマーとして安い賃金で働く人々が多い。
長年働いてきた経験や知識を活かした職種に就けない、高齢者が自分の可能性を発揮できる場所がない、など、シニアの就業職種は選択肢が少ないのが現実である。
BABAlabについて
おばあちゃんならではの仕事で「ものづくりの現場」がつくれないかと考え、祖母の大好きな裁縫を活かした仕事場として、2011年に「BABAlab(ババラボ)」を設立した。BABAlabでは「孫育てグッズ」を製作販売している。40代から80代まで、50名程度が働いており、年齢割合は40代と、60から80代(主に70代)が半分ずつである。
BABAlabでの働き方と特徴は以下のとおり。
- 週3回の工房開放
- 子連れ・孫連れ出勤可能
- 超ワークシェアリング
高齢だから諦めるのではなく、それぞれができることを組み合わせ、仕事をいろんな人と共有するワークシェアリングという方法が有効だ。作業を細分化すればするほど、誰でもできる作業が必ず出てくる。細分化した仕事は、この部分を縫うと何円、これを作ると何円と料金表で細かく管理する。BABALabでは、人を管理する側の都合に合わせるのではなく、それぞれの働き方に管理を合わせている。シニアが働く場づくりでは、みんなが分け合い、働き、生活しあう超ワークシェアリングが、もっとも重要だ。
- 週1度のまかない
週に1度、お昼にカレーを食べながら、愚痴や仕事の話をしながら、コミュニケーションを図る。仕事とプライベートを分けずに話していると、お互いの状況を知ることができ、仕事やプライベートのフォローがしやすい環境が生まれる。
- 出入り自由
転勤や親の介護などで1年間以上休むという人もいるし、病気で何年も来られない場合もある。それでも、何年経っても帰って来られる、戻ってこられる場にしている。
自分らしく働き続けるための場所づくりへの思い
誰もが年を取るにつれ、少しずつ出来なくなることが増えていく。「出来ないことが増える」ということは、元気な時には想像がつきにくいため、「年をとることが怖い」という気持ちを抱えることになる。
BABAlabでは、いきいきと働くおばあちゃんたちを間近で見ることができる。当初、おばあちゃんのための場と考えていたが、自分がその年代になった時を考える際の希望になるとの想いから若いスタッフも増えた。結果として、シニアや子育て世代のお母さん、主婦だった人たちを地域で人材として活用でき、誰もが自分の仕事、そして存在する価値を感じながら、自然にその場にいることができる仕組みができている。
通常のビジネスは、高齢者または工場で商品を作り、購入者がいて、買ってもらう、点と点だけのつながりである。BABAlabは、おばあちゃんたちが100歳になっても活き活きと働ける場所、そういう社会を作りたいという「課題への想い」に共感してくれた人たちとのつながりでできているモデル、面でつながるビジネスモデルである。
実現のためのアドバイス
何かやりたいことがある場合は、まず「考える」、次に「書く」、そしてそれを誰かに聞いてもらうために「話す」。この3つのサイクルを繰り返し行うことが最も重要だ。女性は「書く」こと、男性は「話す」ことが抜けがちだが、3つを必ずやることと、1回限りではなく、何度も繰り返すことで漠然としていたプランが明確になり実現に近づける。
質疑応答
- 質問:「近居」という言葉を初めて聞いた。秋田市でエイジフレンドリーシティの実現に向けて取り組んでいるが、どのようなことを行っているのか分かりづらいという思いがあり、近居を推し進めたらわかりやすいのではないかと思って聞いていたが、どうか。
- 回答:政府の政策でも一時期同居を推奨していたが、やはり現実的ではない。近居というスタイル、お互い距離を保ちながら、お互いを支えあうというのはよいと思う。例えば、頼る人が友達でも、誰か近くにいるという事は安心できる。
- 質問:私の89歳祖母は、歩くことが困難で、手も震える状況だが、書を書く。祖母の字は、いろんな賞を取った若い方よりも、何となく力があるような気がして、その字を好んでくれる方がいる。もし何か、若い人より、おじいちゃん、おばあちゃんの方がこういう事ができると日々感じられていることがあれば、ぜひ教えていただきたい。
- 回答:私も力強さをよく感じることがある。私の祖母はBABAlabに来ているが、そこに居て、話すだけで、涙して帰っていく人がいる。この年になってもまだ働いて、こういう事をやっている人が側にいてくれると、その存在だけで尊いと感じ、その年代の方が特有なものだと感じる。戦争を乗り越えてきた経験をもつ80から90歳の方たちにはそう感じることが多い。そのため、おばあちゃんの書を見て喜ぶ人がいるというのはとてもよく分かる。
- 質問:自分がやりたいと思うことは、高齢者、障がい者、子育て世代が生きがいを求めながら、健康寿命を延ばすために、仕事場とサロンを兼ねた場所を作ることだ。空き家を活用するとなると行政や社会福祉協議会などから、支援を受けなければならないし、正直願望はあっても実現できるかが分からない。アドバイスがほしい。
- 回答:埼玉県や東京都などは、人口が多く、企業もお店もたくさんあり、さらにさまざまな活動をやりたい人が多い。そうすると、何とか成功してしまうが、地方に行けば行くほど、登場人物が少なくなるので、想いがあってもなかなか成立しにくい。そうした場合は、行政や社協などと連携して作っていくというのは、空き家のことも含めて一つの手だと思う。それで成功している例も多いと思う。
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秋田市福祉保健部 長寿福祉課 エイジフレンドリーシティ推進担当
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