サービスの現状および評価・整備の方向(健康と生きがいづくりのために)2.乳幼児保健
乳幼児保健
健康診査
現状および評価
目的
すべての子どもが、身体的・精神的・社会的に健康で、その持てる能力を最大限に発揮できるよう、病気の早期発見および成長・発達の評価とともに、育児支援や健康増進の助言を行うことを目的としています。
実施内容
- 乳児期から3歳までの健康診査
乳幼児健康診査は、平成8年度までは、4か月、7か月、10か月、1歳6か月児について実施していましたが、母子保健法の改正によって、平成9年度から新たに3歳児健康診査が加わりました。乳児期は医療機関方式(注1)、幼児期は集団方式(注2)で実施しています。
乳幼児の疾病や発育の問題の早期発見・早期治療のためには、キーマンス(疾病や発育の問題が発見されやすい月齢)に適した方法で、疾病の発見や発達の評価を的確にできるように健康診査の精度管理を高める必要があります。また、乳幼児の健康状況を一貫管理する健康増進情報システム(注3)をさらに効果的に活用することが必要です。障害のある保護者の子どもや障害のある子ども自身が受診しやすいように配慮する必要があります。
注1:医療機関方式とは、市内の受託医療機関で実施している健康診査の方式です。
注2:集団方式とは、市保健センターや支所などの会場で実施している健康診査の方式です。
注3:健康増進情報システムとは、市で行う健康診査などから得られた健康情報を、コンピューターを活用して一元管理するシステムです。乳児期から3歳までの健康診査 健康診査の種類 集団方式 医療機関方式 4か月児健診 否 可 7か月児健診 否 可 10か月児健診 否 可 1歳6か月児健診 可 否 3歳児健診 可 否
- 5歳児健康診査
就学間近になってから、親の訴えや保母・幼稚園教諭の観察により、「学習障害」や「軽度精神発達遅滞」など、さまざまな発達上の障害や問題が発見されることがあります。就学までの期間が短かい場合は、就学に向けてのアドバイスが十分にできないことが多いので、就学後の学校生活をスムーズに送ることができるように、就学時健康診断(関連情報を参照)前の5歳時点での健康診査が求められています。この時期は、ほとんどの子どもが保育所や幼稚園に通っているので、経過観察中の子どもを継続して支援する際は、施設との連携を強化していく必要があります。 - 健康診査後の支援体制
- 乳幼児健康診査の結果、支援が必要な子どもについては、健康診査の事後支援の一つとして、保健婦や栄養士が訪問や電話により支援しています。
さらに、1歳6か月児健康診査後、言葉の遅れや情緒面・養護面などで支援が必要な子どものために、平成9年度から「経過観察クリニック」を実施しています。
注:「経過観察クリニック」とは、子どもの発達状況の判断や専門機関への紹介などの処遇判断が難しい場合、小児科医、心理判定員、聴能言語士、保母、保健婦など、各専門分野のスタッフが発達の経過をみて、養育の指導を行うものです。 - 県の「心身障害乳幼児療育ネットワークシステム」の市内の対象児は、平成9年3月末現在で186人いて、それぞれ、保健所、児童相談所、医療機関、療育施設などで訓練などを受けています。
「心身障害乳幼児療育ネットワークシステム事業」のうち、「幼児健康教室」は、親子遊びやグループでの交流を通して、子どもの発達の促進や親・家族の育児不安の解消など、精神的に安定した環境をつくることを目的としているものです。この教室は、中核市移譲事務として、平成10年度からは市が実施することになっています。
注:「心身障害乳幼児療育ネットワークシステム」とは、すべての心身障害乳幼児が、早期に発見され、その時々に必要な相談・指導および療育が受けられるように各関係機関が連携して支援をするシステムです。 - 保母や幼稚園教諭からみると発達や行動が気になる子どもがいても、保護者が特に問題として認識していない場合は、その子どもの情報が市に伝わりにくいため、健康診査での的確な支援が難しいことがあります。
- 乳幼児健康診査の結果、支援が必要な子どもについては、健康診査の事後支援の一つとして、保健婦や栄養士が訪問や電話により支援しています。
- 歯科健康診査
- 1歳6か月児健康診査および3歳児健康診査では、集団方式で歯科健康診査を実施しています。平成9年度からは、歯科衛生士による歯科保健についての支援も始めました。
- 歯科医院への通院が困難な子どもについては、平成8年度から在宅寝たきり者歯科保健事業(関連情報を参照)の対象年齢の引き下げによって、訪問による歯科健康診査および歯科保健についての支援を実施する体制を整備していますが、ほとんど利用されていません。
整備の方向
妊婦健康診査から就学時健康診断まで、一貫した保健福祉サービスを提供できるような体制とします。
障害のある保護者の子どもや障害のある子ども自身が受診しやすいように、福祉関係機関と連携を図り、必要としているサービスが受けられるようにします。
- 乳児期から3歳までの健康診査
健康診査は、成長発達のキーマンス(疾病や発育の問題が発見されやすい月齢)に合わせて引き続き実施します。集団での健康診査は十分に時間をかけて発達チェックをし、親がゆっくり相談できるような体制づくりを検討します。
また、妊婦健康診査や乳幼児健康診査の結果は、次回の健康診査の参考情報として今後とも有効に活用します。 - 5歳児健康診査
今後、5歳児健康診査の実施方法などについて検討していきます。 - 健康診査後の支援体制
- 1歳6か月児健康診査後には「経過観察クリニック」を組み入れて、支援体制を充実します。
- 県の「心身障害乳幼児療育ネットワークシステム事業」のうち「幼児健康教室」などは、中核市移譲事務として平成10年度から市で実施し、「経過観察クリニック」を含めた支援体制の拡充を図ります。
- 保育所や幼稚園など健康診査以外の場では、発達が気になる子どもへの支援方法について、「経過観察クリニック」の活用や主治医および園医との連携なども含めて検討します。
- 歯科健康診査
- 歯科健康診査では、歯科衛生士による歯についての保健指導の充実を図ります。
- 歯科医院への通院が困難な子どもが適切なサービスを受けられるように、在宅寝たきり者歯科保健事業(関連情報を参照)のPRを強化します。
健康教育
現状および評価
目的
乳幼児の発達や育児についての知識の普及により、保護者の育児への不安を解消して、家庭および地域の育児力を向上させることを目的としています。
実施内容
- 市主催の事業
保健センターを会場に「お母さんの育児教室」、「離乳食教室」、「幼児食教室」を開催し、希望者には個別に相談にも応じています。- 「お母さんの育児教室」では、母親がゆっくり学習できるように託児ボランティアを配置しています。交流を求めて参加する人がほとんどなので、教室では座談会や交流の時間を設けています。
実施場所:保健センター
実施日:おおむね隔月年8回 - 「離乳食教室」、「幼児食教室」では、特に初期離乳食教室の参加者が多くなっています。平成9年度からは、新たに中期離乳食教室も実施しています。
実施場所:保健センター
実施日:初期離乳食教室・幼児食教室隔月年6回
中期・後期離乳食教室各年4回
- 「お母さんの育児教室」では、母親がゆっくり学習できるように託児ボランティアを配置しています。交流を求めて参加する人がほとんどなので、教室では座談会や交流の時間を設けています。
- その他の健康教育
地域保健推進員および愛育班、民生児童委員・主任児童委員など地域の子育て支援組織が主体となって、子どもの病気・健康に関すること、育児やしつけ、むし歯予防、食生活などさまざまな内容で、地域ごとに育児教室を行っています。また、保育所、公民館などでの健康教育も実施しています。
地域の育児教室には、障害のある保護者や障害のある子どもが気軽に参加できるような地域全体の雰囲気づくりと配慮が必要です。
注1:地域保健推進員とは、地域の健康づくりのために、地域に根ざした活動を中心となって進めていく人です。
注2:愛育班とは、家庭の主婦が、地域の人々と連携を深めながら、母と子の保健を中心にした健康づくり活動をする自主組織です。 - 子育て情報の提供
- 出生届時や各種学級などでの健康育児ガイドの配布
- 妊娠届時に母子保健事業の紹介パンフレットの配布
- 広報などによるサービス情報の提
平成7年度に実施した子育て実態調査で、市の母子保健サービスがわかりにくいという回答があったので、パンフレットの配布方法や情報提供の工夫が必要です。
整備の方向
子どもの発育・発達の仕方や子育ての基本的理念などを学習する場や、母親同士の交流の場を設け、育児不安が軽減するように支援します。
障害のある保護者や障害のある子どもが参加しやすいように、福祉関係機関と連携を図り、必要なサービスが受けられるように配慮します。
- 市の主催の事業
- 「お母さんの育児教室」の充実
- 乳児の母親を対象とする教室は、育児の基本的理念についての学習の場とし、実施回数を増やします。
- 幼児の母親を対象とする教室は、ほかの教室と併設するなど内容の充実を図ります。
- 「離乳食教室」・「幼児食教室」の充実
- 初期および後期離乳食教室は、実施回数を増やします。
- 幼児食教室のほかに、3歳児健康診査の結果、支援が必要な子どもの親を対象とする教室を開催します。
- 「お母さんの育児教室」の充実
- その他の健康教育
- 地域ごとに開催している乳幼児学級や育児サークルなどの健康教育の場で、障害のある子どもと家族への理解について啓発します。また、地域の子育て支援組織には、障害についての理解と支援方法の啓発に努めます。
- 母親同士の交流や育児不安を解消するための機会が地域ごとに確保されるように、地域保健推進員などの組織に働きかけていきます。
- 子育て情報の提
関係機関と連携を図り、母子保健サービスの内容が周知徹底されるように、パンフレットの配布方法や情報提供の方法を検討します。
健康相談
現状および評価
目的
子どもの発達・発育や育て方についての保護者の心配や悩みなどの相談に応じ、必要な支援および助言をして、子どもが健康に育つことができるようにすることを目的としています。
実施内容
各種育児教室や地域で行っている子育て支援の学級を開催する際は、保健婦や栄養士、歯科衛生士による健康相談を合わせて実施し、育児の不安や心配事を解消できるようにしています。
障害のある保護者や障害のある子どもの家族からの相談にあたっては、きめ細かな支援ができるよう従事者への研修を行う必要があります。
- 健康相談室
保健婦や栄養士が、乳幼児の健康全般について相談に応じています。
実施場所:保健センター
実施日:平日の午前8時30分から午後5時まで - 各種育児教室・地域で行っている子育て支援学級に合わせて実施する健康相談
実施場所:育児教室などの実施会場
実施日:育児教室などの開催日
整備の方向
- 子育て総合センター(関連情報を参照)などの関係機関と連携を図り、子育ての専門相談の体制を整備します。
- 保健センターや保健所の健康相談の充実を図ります。
- 引き続き各種健康教室での健康相談を実施します。
- 健康相談室、電話相談をPRします。
- 障害のある保護者や障害のある子どもの家族に、きめ細かな対応ができるよう従事者研修の充実を図ります。
予防接種
現状および評価
目的
予防接種法および結核予防法に基づき、伝染病から子どもを守るため、予防接種を実施しています。
実施内容
予防接種は、個別接種方式と集団接種方式により実施しています。集団接種(ツベルクリン反応検査・BCG接種およびポリオ接種)は地区割りをし、6会場でそれぞれ年2回実施しています。
集団接種では、子どもの体調や保護者の都合で実施日に接種できない場合や保護者と医師とがゆっくり話すことができないなどの課題があります。
予防接種の種類など
- 実施方法:受託医療機関での個別接種方式
- 種類
- 麻しん(はしか)
- 風しん
- 三種混合(百日せき、ジフテリア、破傷風)
- 日本脳炎
- 種類
- 実施方法:市内6会場での集団接種方式
- 種類
- ツベルクリン反応検査・BCG
- ポリオ(急性灰白髄炎)
- 種類
注1:個別接種方式の受託医療機関数は、平成8年度は50機関、平成9年度は49機関です。
注2:日本脳炎の予防接種は平成8年度から実施しています。
注3:集団接種方式は、市保健センター、土崎支所、新屋支所、東部公民館、南部公民館、御野場地域センターの6会場で実施しています。
整備の方向
子どものプライバシー(情報の保護)が配慮された環境で、保護者が安心して医師から説明や予診を受けることができるように、集団接種方式で実施している予防接種を、身近なかかりつけの医療機関で接種できる個別接種方式へ移行していくことを検討します。
- 乳幼児のツベルクリン反応検査・BCGについて、個別接種方式とすることを検討します。
- 県小児療育センターへ通所・入院中の子どもは、予防接種(集団接種、個別接種、特別予防接種)を受けることが困難なため、集団接種については、県小児療育センターを会場として実施します。
また、県小児療育センターが個別予防接種も実施できる受託医療機関となるように県に働きかけます。
特別予防接種
現状および評価
目的
てんかんなどの基礎疾患を有し、健康上の理由で市が実施する集団予防接種や個別予防接種を受けられない子どものために実施しています。
実施内容
予防接種を希望する子どもについて、医師から特別予防接種に該当すると判断された場合、市長の依頼に基づき、秋田大学医学部附属病院(小児科)で十分な検査を行ったうえで、予防接種を実施しています。
年度 |
平成5年度 |
平成6年度 |
平成7年度 |
平成8年度 |
---|---|---|---|---|
接種実績 |
1人2件 |
1人1件 |
1人10件 |
8人20件 |
整備の方向
これまでどおり実施します。
関連情報
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