サービスの現状および評価・整備の方向(健康と生きがいづくりのために)8.医療費の助成
医療費の助成
更生医療費給付事業
現状および評価
目的
更生医療は障害を除去・軽減することにより職業能力を回復し、日常生活を容易にすることを目的に行われる医療で、一般保険診療の本人負担部分について公費負担の対象としています。
現状
平成6年の健康保険法の一部改正によって、入院時の食事療養費についても更生医療の給付対象となって以来、受給者数は年々増加しています。
医療の具体例としては、肢体不自由の人工関節置換術、心臓障害の心室心房中隔の手術、じん臓障害の人工透析、CAPD(腹膜灌流)、じん移植術、口蓋裂後遺症の歯科矯正などで、受給者のうち人工透析者が9割近くを占めています。
福祉医療の受給者で自己負担が生じた場合は、福祉医療費から助成しています。
年度 |
じん臓(人) |
その他(人) |
計(人) |
---|---|---|---|
4 |
89 |
6 |
95 |
5 |
89 |
4 |
93 |
6 |
113 |
8 |
121 |
7 |
142 |
23 |
165 |
8 |
155 |
19 |
174 |
整備の方向
身体障害者手帳を交付するときに、事業内容について周知・PRを図るとともに、 各指定医療機関との連携を強化しながら、事業を継続していきます。
育成医療費給付事業
現状および評価
概要
この事業は18歳未満の児童への医療給付事業で、身体障害者手帳に該当する程度の障害を残す児童(身体障害者手帳の所持者とは限りません)を対象に給付を行っています。
現状
- 平成9年4月の中核市移行に伴い、県から移譲された事業です。
- 保健所や指定医療機関の相談、療育指導によって、早期治療のための給付を行っています。
- 世帯の課税状況に応じ、自己負担額を決定しています。
医療費のほか、入院時の食事療養費も育成医療費として給付しています。
福祉医療の受給者で自己負担額が生じた場合は、福祉医療費から助成しています。
区分 |
申請者数 |
---|---|
肢体不自由 |
5 |
視覚障害 |
4 |
聴覚・平衡機能障害 |
0 |
音声、言語、そしゃく機能障害 |
7 |
心臓障害によるもの |
1 |
腎臓障害によるもの |
0 |
その他の内臓障害 |
3 |
計 |
20 |
整備の方向
今後も保健所や指定医療機関との連携を図り、効果的な保健支援を行い、この事業 を現行のまま継続します。
福祉医療費給付事業
現状および評価
概要
重度心身障害児・者、高齢身体障害者、乳幼児、母子・父子家庭を対象に、保険診療の自己負担分を助成し、対象者の健康保持と生活の安定を図り、地域福祉の増進に寄与します。県および市独自の医療給付事業を実施し、本人や扶養義務者の経済的負担の軽減を図っています。
障害者制度別一覧(県制度)65歳未満
- 受給資格内容
-
2歳以上の重度障害児・者
(身体障害者手帳1~3級と療育手帳A所持者)
0、1歳は乳幼児医療で助成しています -
支給制限
-
- 社会保険本人のみ該当します
- 所得制限あり
障害者制度別一覧(県制度)65歳以上
- 受給資格内容
-
65歳以上の高齢身体障害者
(身体障害者手帳4~6級所持者) -
支給制限
-
- 社会保険本人は該当しません
- 所得制限あり
負担率:県 1/2、市 1 /2
障害者制度別一覧(市制度)
- 受給資格内容
-
65歳以上の高齢身体障害者で県制度の所得
制限を超える人
(身体障害者手帳4~6級所持者) -
支給制限
-
- 社会保険本人は該当しません
負担率:市 全額
制度区分 | 秋田市 | 仙台市 | 福島市 | 山形市 | 盛岡市 | 青森市 |
---|---|---|---|---|---|---|
県制度:重度障害児・者 |
実施 |
実施 |
実施 |
実施 |
実施 |
実施 |
県制度:高齢身体障害者 |
実施 |
未実施 | 未実施 | 未実施 | 未実施 | 未実施 |
市制度:高齢身体障害者 |
実施 |
未実施 | 未実施 | 未実施 | 未実施 | 未実施 |
- 重度障害児・者だけに助成している他都市と比較して、障害のある人には広く助成しています。
- 平成9年の実態調査では、「特に充実してほしいサービス」の中で、「医療費の軽減」についての要望が最も多いという結果がでています。
整備の方向
医療費を充実してほしいという市民の要望が多いので、障害のある人への福祉医療費給付事業として、医療保険制度および県の福祉医療制度の動向を見極めながら、助成に努めていきます。
進行性筋萎縮症者療養等給付事業
現状および評価
概要
進行性筋萎縮症の重度身体障害者に、必要な治療および機能回復訓練を行うために、国立療養所に委託して療養等給付を行っています。
現状
平成9年7月現在、秋田市からは国立療養所道川病院に10人、国立療養所西多賀病院に1人入所しています。また、入所の待機者は2人います。
進行性筋萎縮症の療養期間は長期におよび、筋ジストロフィー病棟の数も限られているので、空き部屋が少なくすぐには入所できない状況です。入所条件として、治療および訓練の緊急性や介護者のいないことなどがあげられます。
世帯の課税状況に応じ、自己負担が生じた場合は福祉医療費で助成しています。
整備の方向
現行事業を継続しながら、本人の症状、介護の状況などの相談に応じ、各種在宅福祉サービスの利用援助を図っていきます。また、在宅が困難と思われる場合は、国立療養所道川病院(筋ジストロフィー病棟)のほか、障害者施設、老人保健施設、特別養護老人ホームなどの利用について指導、助言をしていきます。
精神障害者通院医療費公費負担制度
現状および評価
内容
精神障害で通院医療を受けている方の医療費について、自己負担を医療費全体の5パーセントとし、各医療保険制度を適用した残りの医療費を公費で負担する制度です。(国1/2、県1/2)
秋田市保健所では、精神障害者通院医療費公費負担の申請受付を実施しています。
病名 |
件数 |
---|---|
総数 |
1,118 |
精神分裂病 |
599 |
そううつ病 |
110 |
てんかん |
248 |
脳器質性精神障害:老年精神障害 |
35 |
脳器質性精神障害:その他 |
5 |
中毒性精神障害:アルコール中毒 |
28 |
中毒性精神障害:その他 |
2 |
精神発達遅滞 |
14 |
精神病質 |
7 |
精神神経症 |
31 |
その他の精神病 |
33 |
その他 |
6 |
- 平成8年度末現在で把握している精神障害者の数は2,439人で、そのうち、通院患者は1,370人、公費負担制度利用者は1,118人と、通院患者の86.7パーセントがこの制度を利用しています。
しかしながら、現在把握している精神障害者の数は、通院医療費公費負担申請、各種入院届出等によるものだけなので、精神障害者の正確な数字を把握していない状況にあります。 - 制度を利用しない理由については、5パーセントの自己負担がある、書類の手続きが難しい、窓口体制が整っていない、また、病気を知られたくない、病気を認めたくないなど多くの理由が考えられるので、実情を十分に把握する必要があります。
- 制度については医療機関のケースワーカーおよび主治医から対象者に個別に説明されています。
整備の方向
- より多くの精神障害者が通院医療費の公費負担制度を理解し、適正な医療を受けられるように、医療機関への説明・周知や、広報などを通じて市民への周知を図ります。
また、医療機関には、初回受診時だけではなく、制度を利用していない人への制度の説明など、きめ細かな対応をお願いしていきます。 - 制度を利用しない理由について、該当者の了解を得ながら実情を調査・把握していきます。
小児慢性特定疾患治療研究事業
現状および評価
現状
小児慢性疾患は治療が長期にわたるため、患者や家族の身体的・精神的負担も大きく、また、経済的にも医療費の負担が重くなっています。
小児慢性特定疾患については、その研究を推進しその医療の確立と普及を図るため、対象者には受給者証を交付し、医療費の無料化を図ることを目的として小児慢性特定疾患治療研究事業を実施しています。
平成8年度末の対象疾患は10疾患群で、医療費受給者証交付者数は357人です。
疾患別にみると、内分泌疾患が114人(31.9%)、次いで悪性新生物が83人(23.3%)、血友病等血液疾患が54人(15.0%)の順となっています。また、医療費受給者 証交付数は年々増加の傾向にあります。
注:小児慢性特定疾患とは、小児慢性疾患のうち、悪性新生物、慢性腎疾患、ぜんそく、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病、先天性代謝異常、血友病等血液疾患、神経・筋疾患を対象疾患としています。
疾患名 |
人 |
% |
---|---|---|
悪性新生物 |
83 |
23.3 |
慢性腎疾患 |
42 |
11.8 |
ぜんそく |
5 |
1.4 |
慢性心疾患 |
4 |
1.1 |
内分泌疾患 |
114 |
31.9 |
膠原病 |
9 |
2.6 |
糖尿病 |
20 |
5.6 |
先天性代謝異常 |
25 |
7 |
血友病等血液疾患 |
54 |
15 |
神経・筋疾患 |
1 |
0.3 |
計 |
357 |
100 |
評価
- 小児慢性特定疾患患者への施策は国の施策に沿って実施しているだけなので、患者や家族が何を要望しているか把握する必要があります。
- 長期にわたる療養生活では、身体面・精神面・家庭面・教育面などでさまざまな不安や悩みを抱えていると考えられます。今後は、患者や家族の要望を把握しながら保健・医療・教育・福祉などの関係機関と連携を図り支援していく必要があります。
整備の方向
小児の慢性特定疾患では治療が長期となるため、成長発育を伴う小児においては、 保健・医療・教育・福祉面など全般にわたって長期的に支援し、同時に家族の精神的 負担の軽減を図ります。
- 事業が適正かつ円滑に進められるように、「秋田市小児慢性特定疾患対策協議会」の積極的な活用を図るとともに、各医療機関との連携を密にし、この事業を継続して実施していきます。
- 窓口での相談体制の強化を図り、患者家族の要望を把握し、要望に沿った施策を展開するとともに、保健・医療・教育・福祉面などの関係機関との連携を図り、安定した療養生活ができるように支援体制を整えます。
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