サービスの現状および評価・整備の方向(健康と生きがいづくりのために)4.精神保健
精神保健
訪問支援
現状および評価
目的
精神障害者の社会復帰促進の援助をするため、本人の状況、家庭環境、社会環境などの実情を把握し、これらに適応した支援を行うものです。
支援内容
- 家庭における療養方法に関する支援
- 家族への支援
- 関係機関への紹介
- 諸制度の活用方法に関する助言など
現状
精神疾患で治療を受けている、あるいは受療歴のある人に、本人や家族の要望に応じて主治医との連携により訪問指導を行っています。
初回訪問64件に対して延べ訪問件数96件で、一人のケースへの1年間の訪問回数は1.5件となっています。
平成8年度の精神障害者数2,439人、通院者1,370人からみると、まだまだ対象者への訪問が十分とはいえません。
訪問時は、医療機関・福祉事務所・社会復帰施設など、関係機関と連携を図りながら支援していますが、各従事者の役割分担や意思の統一が十分とはいえません。
訪問に際しては、指導という立場ではなく障害のある人と同じ目線で支援する必要があります。
訪問指導の実績(平成8年度秋田保健所本所の実績)
病名 |
件数(件) |
---|---|
総数 |
96 |
精神分裂病 |
69 |
そううつ病 |
2 |
てんかん |
8 |
脳器質性精神障害:老年精神障害 |
0 |
脳器質性精神障害:その他 |
0 |
中毒性精神障害:アルコール中毒 |
3 |
中毒性精神障害:その他 |
1 |
精神発達遅滞 |
1 |
精神病質 |
1 |
精神神経症 |
2 |
その他の精神病 |
1 |
その他 |
8 |
内訳 |
件数(件) |
---|---|
初回訪問支援件数 |
64 |
訪問指導延べ件数:退院届によるもの |
9 |
訪問指導延べ件数:措置解除者 |
0 |
訪問指導延べ件数:仮退院者 |
0 |
訪問指導延べ件数:公費負担通院患者 |
11 |
訪問指導延べ件数:その他 |
76 |
内訳 |
件数(件) |
---|---|
受診勧奨 |
17 |
生活支援:家族の調整支援 |
11 |
生活支援:就労就職についての支援 |
9 |
生活支援:病気の理解についての支援 |
4 |
生活支援:関係機関への紹介支援 |
2 |
生活支援:家庭療養支援、服薬支援 |
33 |
生活支援:その他 |
27 |
整備の方向
- 継続的に訪問指導が必要なケースには、状況に応じて十分な支援を行います。また、本人のプライバシー(情報の保護)と人権に配慮しながら実施していきます。
- 病院、診療所、福祉事務所など関係機関が相互に理解を深めるために、連絡協議会を設置します。
- ケース処遇の方向性について関係機関と検討する機会を設けるなど、各関係機関の役割の確認と意思の統一を図ったうえで、それぞれのケースに対応します。
- それぞれのケースに十分な対応ができるよう、研修などによって従事者の質の向上を図ります。
- 訪問支援を含め保健所の事業について積極的に紹介していきます。
- 医療機関などが実施している訪問看護と、訪問支援との連携を図ります。
注:訪問支援は訪問指導と同意語で用います。
健康相談
現状および評価
- 「精神保健福祉相談日」の開催
目的
市民の心の健康の保持増進、老人の精神相談やアルコール関連問題についての相談、精神障害者の適切な療養などを促進するものです。
月2回、保健所精神相談室において、嘱託医が精神障害者やその家族、一般市民からの相談に応じています。 - その他の健康相談
担当職員が随時、来所または電話相談に応じ、必要な時には関係機関に紹介したり保健所の事業を紹介したりしています。
相談は精神障害者やその家族、一般市民以外に、他の相談窓口や福祉事務所など関係機関からも寄せられています。また、連絡・紹介先は保健・医療・福祉の分野に限らず多岐にわたっています。
健康相談の実績(平成8年度秋田保健所本所の実績)
処理方法 |
件数(件) |
---|---|
初回相談件数 |
171 |
相談延べ件数 |
581 |
紹介委託:精神病院 |
0 |
紹介委託:福祉事務所 |
2 |
紹介委託:知的障害者相談所 |
0 |
紹介委託:精神保健福祉センター |
0 |
紹介委託:市町村 |
1 |
紹介委託:その他 |
2 |
医学的医療:入院医療を勧めたもの |
3 |
医学的医療:通院医療を勧めたもの |
8 |
医学的医療:その他 |
7 |
ケースワーク |
581 |
病名 |
件数(件) |
---|---|
総数 |
581 |
精神分裂病 |
458 |
そううつ病 |
13 |
てんかん |
4 |
脳器質性精神障害:老年精神障害 |
5 |
脳器質性精神障害:その他 |
3 |
中毒性精神障害:アルコール中毒 |
27 |
中毒性精神障害:その他 |
1 |
精神発達遅滞 |
11 |
精神病質 |
12 |
精神神経症 |
10 |
その他の精神病 |
4 |
その他 |
33 |
整備の方向
- 「精神保健福祉相談日」
相談の内容によって、必要なケースについては関係機関の紹介、保健所主催の事業の参加呼びかけ、保健婦による訪問支援を行います。
広報あきたなどによって相談日の周知を図り、相談の機会を必要としている人が気軽に相談できるようにしていきます。 - その他の健康相談
- 各相談窓口で、相談者の個々の状況に応じて適切な対応ができるように、各関係機関や施設などが、それぞれの役割などを整理し、関係者が情報を共有できるような体制づくりを推進します。
また、必要に応じてケースの処遇や対応の仕方について検討、協議する場(仮称・精神保健福祉ケース検討会議)を実務者レベルの会議として開催を検討します。 - 相談の会場を保健所以外にも設け、気軽に相談できる体制づくりをしていきます。
- 精神保健福祉相談員を配置し、相談の対応の充実を図ります。
- 各相談窓口で、相談者の個々の状況に応じて適切な対応ができるように、各関係機関や施設などが、それぞれの役割などを整理し、関係者が情報を共有できるような体制づくりを推進します。
社会適応訓練事業(精神障害者リハビリテーション事業)
現状および評価
目的
一定期間、事業所で訓練することを通し、自信や意欲を取り戻すことによって、障害の再発防止と社会復帰を図るための事業です。実施主体は県ですが、平成9年度から秋田市が委託を受けて実施しています。訓練期間は原則として3年間です。
- 事業所の状況
平成8年度末現在の訓練者は28人、市内の登録事業所は32カ所、契約事業所は12カ所となっています。1事業所での訓練者数は1人から12人です。
事業所の業種は主に製造業・飲食業で、作業内容としては清掃や補助的な作業が中心です。
登録事業所の中には現在契約していない事業所もあるので、今後、各事業所との連携を図っていく必要があります。 - 訓練者の状況(平成8年度)
年代
総数(人)
男
女
訓練期間1年
訓練期間2年
訓練期間3年
訓練期間4年
訓練期間5年
訓練期間6年
訓練期間7年
訓練期間8年
20代
6
4
2
2
4
0
0
0
0
0
0
30代
6
6
0
2
1
1
2
0
0
0
0
40代
10
7
3
2
1
1
3
3
0
0
0
50代
4
4
0
1
0
0
0
1
0
1
1
60代
2
2
0
1
0
0
1
0
0
0
0
計
28
23
5
8
6
2
6
4
0
1
1
- 社会復帰状況
平成8年度は訓練を終了して雇用につながった訓練者はいませんが、個々の訓練者にとって、訓練することが生活をしていくうえでの励みになっています。
しかし、訓練期間が3年という一定の期間では、社会復帰は困難な場合がほとんどです。
訓練者28人中7人は、保健所デイケアに参加しながら訓練を受けています。 - 保健婦などによる事業所、訓練者への訪問による支援
月に1度訪問を実施し、よりよい環境で訓練が受けられるように支援しています。 - 秋田保健所精神障害者リハビリテーション運営協議会
精神障害者リハビリテーション事業の協力事業所の選定、委託期間終了後の支援に関すること、精神障害者の社会復帰に関する事業などについて、平成8年度までは秋田県精神障害者リハビリテーション運営協議会が、秋田県秋田保健所を事務局として実施していました。
整備の方向
- これから予想される対象者の増加には、機会を逃さず、訓練が可能となるように商工会議所など関係機関に働きかけ、さまざまな職種の事業所の協力が得られるように努めます。
- 協力事業所には、指導者への定期的な訪問による支援に加え、研修会を開催し事業所の指導者の不安軽減に努めるとともに、主治医と事業所の調整を図り、よりよい環境で訓練できるように支援していきます。
また、職親同士が、情報交換や交流を図る場として、職親の会の設置を支援し、その中で研修会などを開催します。 - 訓練期間が3年という一定の期間では、社会復帰は困難な場合があるので、必要に応じて訓練期間を延長できるよう国・県に要望していきます。
- 訓練生が安心して訓練できるように、定期的な訪問による支援を実施し、主治医など関係機関との連携を図りながら支援していきます。
- 精神障害者の社会復帰の促進を図るため、より効果的な支援ができるよう秋田市精神障害者リハビリテーション運営協議会を設置します。その中で職親制度が効果的な事業となるように検討していきます。
精神障害者についての正しい知識の普及
現状および評価
- 健康教育
目的
精神保健に関する知識および思想の普及啓発に努めるものです。
現状
地区住民を対象にして、心の健康づくりや痴呆問題などをテーマに、医師や保健婦が健康教育を実施しています。
精神障害者の社会参加については、周囲の理解が求められますが、そのための健康教育は行われてはいません。 - アルコール家族教室
目的
アルコール問題で悩みを持つ家族が、アルコール依存について正しく理解し、家族が心の健康を取り戻すことによって、本人の回復を助けることを目的とします。
現状
月1度、精神科医を講師にしたアルコール家族教室を開催していますが、参加者が少ないので、今後PR方法を検討する必要があります。 - その他の健康教育
思春期問題については、不登校や家庭内暴力などが長期化してからの相談が多いので、早期に対応する必要があります。平成7.8年度健康教育実施状況(秋田県保健所) 年度
対象者
参加者(人)
内容
講師
7年
外旭川地区保健推進員
40
老年痴呆症状
医師
7年
ボランティア・福祉関係者ほか
98
社会復帰の促進
医師
8年
中通東地区保健推進員、一般住民
87
痴呆のリハビリ
医師
8年
広面地区保健推進員、一般住民
60
ボケの予防
医師
8年
新屋地区保健推進員、一般住民
30
きらめいて命
キャンプ協会理事
8年
茨島地区保健推進員、一般住民
47
心の健康
レクリエーションワーカー
整備の方向
精神障害者への誤解や偏見をなくし、精神障害者の社会復帰と自立について、地域住民の理解と関心を深めるため、正しい知識の普及を推進します。
- 健康教育
- 各地区、各公民館単位で健康教育を実施します。
- 障害のある人と地域とのふれあい交流会を実施します。
- 地域保健推進員など地区組織への健康教育を実施します。
- アルコール家族教室
アルコール関連の相談が増加しているので、広報などでPRしていくとともに、問題が深刻化する前に家族が対応できるように、内容・運営方法を検討していきます。 - その他の健康教育
- 学校保健との連携
不登校の児童への対応など、学校保健に関する部分についても積極的に連携を図ります。 - 家族会への支援
精神障害者を持つ家族に、正しい知識を持って本人と接することができるように、知識の普及を図ります。 - ボランティアについて
精神障害についての理解者を増やすため、社会福祉協議会やボランティアセンターと連携を図りながら、ボランティアを育成するための教室の開催などを検討します。
- 学校保健との連携
社会復帰相談指導事業
現状および評価
- デイケア
目的
回復途上にある精神障害者の社会復帰を促すため、対人関係の改善、適応能力の向上を図るものです。
内容
主治医の了解があり通所可能な人を対象に、月2回、保健所を会場にレクリエーションや話し合いなど、参加者相互の交流を重視した内容を実施しています。
平成8年度から、行事に合わせてボランティアの協力を依頼しています。
現状参加者数の推移(秋田県秋田保健所での参加者) 年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 人数 23 19 18
しかし、開設当初(昭和63年)から継続して参加している人がいるなど、参加者が固定化しています。また、参加者全員が男性となっています。
参加者の固定化の原因としては、事業の目的に沿った支援が十分でなかったことや、参加者の意識と事業の目的にずれが生じたことなどが考えられます。 - ソーシャルクラブ
目的
回復途上にある在宅の精神障害者同士がお互いに交流を深めることによって、地域社会や家庭で孤立することを防ぎ、社会的自立を促すものです。
内容
主治医の了解があり通所可能な人を対象に、月1回、保健所を会場にして実施しています。実施にあたっては、参加者の自主性を重視して、参加者同士の話し合いで内容を決めています。
現状
会員は平成9年6月現在4人で、主に憩いの場として活用されています。保健所でのソーシャルクラブ以外でも、会員同士で外出するなど交流を深めていますが、保健所以外には憩いの場としてのスペースがありません。
整備の方向
- デイケア
- 医療機関へパンフレットを配布するなど周知を図るとともに、参加者の増加に向けて、受け入れ体制を整え、適切な時期に参加できるように支援します。
- 参加者自身にあった社会復帰ができるように、医師、精神保健福祉相談員、保健婦などでケース検討の場をつくります。
- 憩いの場、交流の場を中心とした内容で実施していきますが、女性や若い年齢層の人も参加しやすいような体制を整えていきます。
- 参加者自身の状況に合わせて、社会復帰への段階へ進めるように、事業を整備し、参加しやすいように支援していきます。
- ソーシャルクラブ
- 活動の中に、会そのものをどのようにするか検討していく内容も加えて、参加者が、より自主的に活動できるように支援していきます。
- 会員の意識の啓発に努め、年間を通じたボランティア活動やデイケアとの交流を行うなど、目標をもって活動できるように支援します。
- 憩いの場については、既存の公共施設の利用を関係機関と協議していきます。
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