酉年を振り返り、戌年を思う(2017年12月)
酉年が終わろうとしている今、昨年、大森山で発生した高病原性鳥インフルエンザ(鳥インフル)を思い出している。休園を余儀なくされ、ひっそりと息をひそめていた。冬のお楽しみ「雪の動物園」も開園できず市民の皆さんには寂しい思いをさせてしまった。
鳥インフルをやり過ごした春開園は3日間で3万人ものお客様が押し寄せた。うれしかったし、市民の動物園への期待の大きさを改めて知った。それは動物園の責任の大きさの裏返しとも言えた。経験を通じ当園では鳥インフル対策に先進的に取り組んだ。
春、カワウソやライチョウなどが仲間入りし、企業応援で完成した「カピバラの湯っこ」も大人気になり、大いに賑わった。ずっと続けてきたテーマ「動物と語らう森」はお客様に浸透、大森山の評価にもつながっていた。国際教養大学留学生は大森山動物園を「独特のやさしさ、暖かみ」と評価してくれた。動物に近く、やさしい動物園の一端はフラミンゴがお客樣の目の前で抱卵し、ヒナを育てる行動にも現れていた。皆驚いていた。
教育界との連携もさらに広がり、深まった。秋田公立美術大学との連携成果でつくられた案内サイン「おしりでこんにちは」などは動物園に新たな楽しみを与えてくれた。地元日新小学校の全校児童約900人の遠足「わくわくフェスタ」は教師とスタッフの綿密な協議の中進められたし、秋田犬のふるさと県北の大館市立南小学校のサツマイモ夢プロジェクトは4年目を迎え、遠い地域とのつながりを確かめることができ、いのちの学習へと発展している。
絶滅が危惧されるゼニタナゴ保全活動も研究団体といっしょに継続されたし、最近では大森山が取り組むイヌワシの生息域外保全活動が宮城県の南三陸町と日本自然保護協会が進める林業再生プロジェクトからも注目され、招かれた。大森山動物園のさまざまな領域との接点は確実に大きさを増した酉年だったのかもしれない。
タレントとして活躍中の高木美保名誉園長さんは何度も秋田においでになり、秋田のTVにも出演、大森山を楽しくアピールしていただいたし、市民交流もして下さっている。動物園の近所にあるお蕎麦屋さんの「そばいなり」にもニンマリ。もう馴染みになった。
今年は幸いにも国内の鳥インフル騒ぎも無く静かだ。対策も万全を期しているから、雪の動物園も予定通り開催できそうだ。雪が多そうな予報もあるが、雪の中で動く動物たちは普段とは違った風景をつくりだし、新鮮で見応えある。是非、ご覧いただきたいものだ。鳥インフル対策が施され施設に「ん?」と思う場所もなくはないが、ご勘弁いただきたい。
酉年は実が熟し、戌年はそれを取り入れる年と記した一説を何かで読んだことがある。秋田の動物園もそうありたいものだ。これまで取り組んできたことで実り始めたものの収穫と同時に、戌年の大森山動物園は新しい発想での種まきにも取り組む、新しいステージづくりの年にしてみたいものである。新しい年も皆さんどうぞよろしくお願い申し上げます。
平成29年12月
大森山動物園 園長 小松 守
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