新型コロナと動物園の開園
新型コロナと動物園の開園
大森山動物園は、今年も春の通常開園を無事に迎えることができ、園内にはたくさんの笑顔があふれている。新型コロナウイルスに苦しむ非常時のような今、「無事」のありがたさをかみしめている。動物園は安全安心が担保できなければ営業できないだろうし、存在すら危うい。動物園は平和と安心の象徴のような存在にも思えてくる。
2016年秋、大森山動物園で発生した高病原性鳥インフルエンザでは、園は閉鎖せざるを得なかったし、翌年1月には終息したものの恒例の冬季開園「雪の動物園」は開園できなかった。春の通常開園にも不安があったが、開園3日間で約3万人を超えるお客様がおいでになり、「無事」のありがたさをかみしめた。
さて、今、人々は見えない敵、新型コロナウイルスに不安や恐怖を感じ、経済活動も低下し、社会にどこか沈鬱感が漂っている。幸いにも、大森山動物園はコロナウイルス対策を講じつつ、3月20日に予定通りの開園ができた。春休みということもありお日様が顔を出すと、園内には家族連れの笑顔があふれる。平穏で無事な社会のありがたさを感じる瞬間だ。
さまざまな文化やスポーツ、あるいは観光などは、人間だから創造できた精神的な、経済的な活動でもあるが、この疫病は結果的にそこに今まさにブレーキをかけている。感染症は自然界での生命同士の関わり、生き物、動物、人類が存在する限り続くものだろうが、生態系のバランスの崩れは、思わぬ感染症となって出現することだってあるだろう。この社会問題は見方を変えると私たち人類の生き方に大事な何かを突き付けているようにも思えてくる。
動物園は動物を見ながら、自然や野生に思いを巡らすことのできるユニークな場でもあるから、人間と自然との関わり、あり方を考えるきっかけとなる動物園づくりも改めて考えてみたいものだ。
新型コロナウイルス禍がどう展開していくのかは不透明で、動物園の「無事」がいつ失われてしまうかは見通せない。こんな今だからこそ、動物園はさまざまな危機に思いを巡らせながらも、人々が笑顔になれる場を提供し続けられるように踏ん張りたい。新型コロナウイルス感染の早い終息を願わずにはいられない。
令和2年4月
大森山動物園 園長 小松 守
よりよいウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
秋田市観光文化スポーツ部 大森山動物園
〒010-1654 秋田市浜田字潟端154
電話:018-828-5508 ファクス:018-828-5509
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。