50周年の開園シーズンを終えて
50周年の開園シーズンを終えて
11月30日、大森山動物園、半世紀の歴史を祝った50周年のシーズン開園を無事終えることができました。入園、ご利用いただいた多くの方々、また様々なご支援のおかげと感謝申し上げます。
1973年に千秋公園にあった児童動物園を引き継ぎ、ここ大森山公園に移転してから50年の歴史を積み上げてきました。その歩みを振り返り、次の時代を展開しようと園のスタッフが掲げたテーマは「ありがとう50年〜つながり、ともに未来へ〜」でした。
開園以来、50年の総入園者数が1,200万人を超えたことは、市民、県民に支え続けてもらった証の一つとも言えそうです。50年の歩み、後半には様々な企業、団体が動物園の支援、応援をしてくださるようになりました。ネーミングライツパートナーの秋田銀行様は大森山動物園の名に「あきぎんオモリンの森」を冠し、資金援助をしてくださるなど、多くの企業、団体、市民が園に関わっていただいています。感謝の気持でいっぱいですが、それは期待の大きさの表れでもあり、私たちはそれに応えてゆくことを忘れてはいけません。
3月のシーズン初日、50周年目のスタートを記念し秋田公立美術大学と共に創り上げてきた正面ゲートのモニュメント作品がお披露目され、また4月には園内遊園地アニパ様が50年の節目の年に合わせ新観覧車「フルール」の運行を開始し、GWの大きな話題となりました。7月には特別なサマースクールや動物園でのナイトキャンプ、さらに歴史を重ねた写生大会では初の試み、「未来の動物園を描こう」をテーマに子どもたちに動物園の未来を描いてもらいました。動物と仲良くなりたいという変わらぬ子どもの思いが印象的で、記念式典ではその表彰式や優秀作品の発表も行われました。10月には新型コロナの影響等でしばらく休止していた「動物パレード」もフルパワーで開催し、大いににぎわいました。
開園記念日の9月1日翌日には、地域のサービスセンターで50周年を祝う記念式典を行い、市民約300人が集まり、動物園への関心の高さを改めて感じることができました。同時に園ビジターセンター入口壁面には美大連携で制作されたメインビジュアル7年分のポスターが、集まった2,000枚以上の動物園での思い出の写真によりモザイクアート作品に生まれ変わり展示されました。春にお披露目したモニュメントと合わせ全体がアート化され、大森山の印象が大きく変わりました。
園内では、昔実施していた「動物ウルトラクイズ」を若い飼育員が受け継ぎ復活させ、来園者がホッキョクオオカミの遊び道具を作り、実際に展示場に入れ、自分のおもちゃで遊ぶオオカミの姿を見て感心した様子など、新たな「いのちを学ぶ」動物園サービスが模索されました。さらに参加賞用にスタッフが手作りしたグッズが大好評だったのは動物園の新たなビジネス展開を予感させるものでした。
一方、動物園の根幹の仕事でもある「いのちをつなぐ」取り組みも進められました。アムールトラのオスが新しく来園、ユキヒョウの子ヒカリが独り立ちして、アサヒ・リヒトの再ペアリングの計画も進められています。新たな取り組みとして、長年のニホンイヌワシの繁殖実績の評価もあり、本州での初のシマフクロウ繁殖計画が実践に移され、オスとメスのシマフクロウが釧路と旭川の動物園からやってきました。動物園の本来の役割、展示と教育を持続させていくうえで、動物のいのちをつなぐ努力は今も昔も変わらぬ動物園の根幹の仕事ですが、変わったのは希少な野生種を優先的に進めなければならない時代になったことです。希少な動物の灯は細ぼるばかり、動物園の種保存の事業とともに多くの人にこのことを伝えることも動物園の大事な仕事になっています。
50周年の節目のシーズンをスタッフ皆が懸命につくりあげてくれました。様々なことに取り組んできたスタッフは早くも51年目から先を見据えているようです。大森山の未来がさらに拓いてゆくために、そして支援してくださる人々の期待に応えるためにも。
地球環境の変化、社会での生命尊重が希薄化する時代、未来の動物園の役割はさらに大きなものになると思います。その時の大事なるテーマは、自然、生き物、命、まさに動物園が直面するものでもあります。動物園の教育的役割はますます高まることでしょう。
令和5年12月
大森山動物園 園長 小松 守
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